環境管理

環境管理

#6 安全な水とトイレを世界中に
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#12 つくる責任、つかう責任
SDGs
#14 海の豊かさを守ろう
SDGs

廃棄物や、水・大気の汚染、健康被害を引き起こす環境の問題に取り組み、きれいな街をつくります。

グローバル・アジェンダの目的

環境管理を担当する行政組織の能力強化を中心とした協力を実施し、廃棄物管理と水質汚濁・大気汚染防止等の環境対策の推進により、健全な環境質を実現し途上国の人々の健康と生活環境の保全を実現できる持続可能な社会の構築に貢献します。
また、「JICAクリーン・シティ・イニシアティブ」と題して、本アジェンダを途上国の都市部において推進し、「きれいな街」を実現します。

背景と課題

(1)環境管理の課題

途上国では、経済発展や工業化、急激な都市化の進展や人口集中等に伴い、環境汚染やその質の劣化が顕在化し、特に貧困層をはじめとする社会的弱者ほど深刻な被害を受けています。

廃棄物においては、適切な処理がされず、サブサハラアフリカでは70%以上の廃棄物がオープンダンプサイトに投棄され、健康被害やメタンガス等の発生で、大気汚染、気候変動にも影響。海洋プラスチックの原因ともなっています。

全世界の42億人が汚水処理等の公衆衛生サービスを享受できない状況にあり、途上国を中心に下痢症、赤痢、コレラ等の水因性疾病により、乳幼児を中心に年間50万人が死亡しています。また、産業活動や自動車交通に起因する大気汚染は、世界全体の死因の第4位を占め、2019年では667万人の死亡者が大気汚染に由来すると推定されています。近年はPM2.5をはじめとした粒子状物質による健康被害も報告されており、2016年時点では世界人口の9割以上がPM2.5のWHO基準を満たさない大気環境下にあります。

(2)気候変動の影響

健全な環境質の確保や廃棄物管理を通じた循環型社会の実現を推進することは、温室効果ガスの発生を抑制することにつながり、脱炭素社会の構築の基礎となります。

(3)日本・JICAが取り組む意義

日本では、高度経済成長期まで経済活動・開発が優先され、環境への影響を軽視して対策を怠った結果、環境破壊や汚染が進行して重度の大気汚染や公共水域の汚濁を引き起こした経験があります。環境問題の深刻化を受け、法制度の整備、組織体制の構築、技術の向上と人材育成を図り、関係社会各層の連携のもと包括的な対処能力向上を行った結果、汚染を抑制しつつ経済成長を行うという経済効率が高くかつ環境にやさしい社会の実現、持続可能な循環型社会の形成に向かっています。このような日本の経験を共有することは、途上国における環境リスクの予測可能性及び対策の実効性を向上させ、持続的な開発の推進に資するものです。また、途上国の環境管理は、地球規模の環境問題や感染症への対応を通じて、我が国の環境や公衆衛生にも直接関わることからも、協力を行う意義は大きいと言えます。また、環境インフラ輸出を推進することにより本邦の民間企業が有する優れた技術をもって途上国の開発に貢献することができます。

課題別指針

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

主要な取り組み

途上国のきれいな街の実現に向けて、以下の2つのクラスターを重点的に取り組みます。都市部において大気・水質汚染や廃棄物処理等を包括的に対応し、「JICAクリーン・シティ・イニシアティブ」を促進することで、2030年までに50ヵ国、5億人への裨益を目指します。また、同イニシアティブを進める際には、持続可能性、開発効果を高めるために都市開発・インフラ整備、保健、教育等のセクターと連携して取り組みます。

(1)JICAクラスター「廃棄物管理の改善と循環型社会の実現」

目標:廃棄物管理システムの改善や、排出者責任原則に基づく住民、企業等の排出者の取組を持続的かつ主体的に推進する主体として、都市圏等地域の行政・公的機関や、国全体の廃棄物管理行政を担う機関の能力を強化します。また、資源の消費が抑制され環境への負荷が小さい循環型社会の実現に向けた支援も行います。

(2)JICAクラスター「環境規制及び汚染対策の適正化を通じた健全な環境質の実現」

目標:環境質(水質、大気、土壌)の管理において、環境汚染・公害問題の未然防止を図りつつ、汚染が発現した場合は科学的根拠に基づき汚染状況と発生源を把握し、対策の策定・実施を担う規制主体となる行政機関の能力を強化します。
また、公的な汚水処理事業等の水質汚濁対策を担う運営主体に対しても施設整備と能力強化を行います。