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防災・復興を通じた災害リスク削減

防災・復興を通じた災害リスク削減

#1 貧困をなくそう
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#13 気候変動に具体的な対策を
SDGs

防災・復興は、安定的な経済開発(持続可能な開発)のための取り組みです。

グローバル・アジェンダの目的

防災(災害リスク削減)は、強固な国の基盤をつくり、人々の命や暮らしを守り、貧困の悪循環を断ち切り、経済を安定的に発展させるための取組みです。2030年までに、自然災害による死者・被災者数や経済損失などの被害を減少傾向に変えることを目指します。

防災(災害リスク削減)を通じた人間の安全保障の実現

災害は、人間の命を直接に脅かし、環境を悪化させ人間の暮らしや尊厳を脅かすため、人間の安全保障の脅威となり得ます。また災害は脆弱な層に対してより大きな影響を与える傾向にあります。防災の取組みは、災害から人々とその人々の生活を支える経済基盤を守り、貧困の連鎖を断ち切るアプローチであり、人間の安全保障に直結します。

人間の安全保障のアプローチの実践を通じたJICAの取組みなどについては、以下をご覧ください。

背景と課題

(1)自然災害による被害(被災者数、経済損失)は、世界中で増加しています。

■世界での自然災害による死者数は、年間平均5万3000人※
死者数が多く発生する傾向にある災害は地震ですが、極端な高温や低温、嵐、洪水も比較的多くの死者数が発生する災害です。
■世界で災害の影響を受けた人の数は、年間平均1億3000万人※  
災害の影響を受けた年間平均人数は、人口10万人あたりで計算すると2005~2015年の間で計1,092人。2013~2022年の2,034人と比べると、約20年で2倍近く増加しています。災害別では、人口が集中する低地での洪水が最も多くの被災者を生み出しています。
■災害による世界の経済損失は、年間平均2,157億ドル※
年により金額は上下しますが、自然災害による経済損失は増加する傾向にあります。
                   (※ EM-DAT 20-24年の平均値 )

(2)次のような理由により、災害リスクがさらに増大する懸念があります。

■災害に脆弱な新たな市街地や建物、インフラの建設
洪水や土砂崩れの発生しやすい場所に新たな市街地が形成されたり、地震が発生しやすい地域で耐震性のない建物やインフラが建設されたりすると、将来の災害リスクは増加します。
■世界経済、サプライチェーンの国際化
経済活動が国際化する中、ある国で発生した災害が他の国の製造業に影響を及ぼすなど、世界規模で災害リスクが深刻化しています。
■気候変動
洪水や高潮など、気象由来の災害が激甚化、頻発化し、災害リスクが増大する懸念もされています。

(3)日本の防災制度や経験・知見は、世界各国に役立つものです。

日本は、災害多発国であり、地震、津波、火山、台風、洪水、地滑り、雪崩など、世界中で発生する様々な自然現象を経験してきました。そして、大災害が発生する度に、同じ被害を繰り返さないよう対策を積み重ね、法律や制度、技術を改善してきました。これらの経験や育まれた防災文化は、日本の強みだと言えます。

経済活動やサプライチェーンが国際化している現在、ある国の災害が他の国にも影響を及ぼす状況にあり、日本にとっても他国の災害は他人事ではありません。他国の災害リスクを削減することは日本にとっても重要だと言えます。

主要な取り組み(クラスター事業戦略)

JICAでは、SFDRRグローバルターゲット(GTa:死亡者数、GTb:被災者数、GTc:経済損失、GTd:災害による重要インフラへの被害)への効率的・効果的な貢献を念頭に、特に増加傾向にある経済損失の削減を重視した事前防災投資の推進を中心的に行うべく、構造物対策(ハード)から非構造物対策(ソフト)までを横断的にカバーする、相互に密接な補完関係を持った以下三つのクラスターに取り組みます。

(1)事前防災投資実現

JICAは、支援対象国に対して、防災インフラの建設など災害リスク削減のための投資(事前防災投資)を自己予算で自立発展的に拡充・維持し、運用していくための支援をしています。
具体例としては、河川からの洪水氾濫を防ぐための堤防建設や、耐震性のある建築物の建設、橋梁や港湾など重要インフラの強靭化など、市街地や建築物・インフラが自然災害で被災しないための根本的な対策の実施促進が挙げられます。
1ドルの事前防災投資で、15ドルの復興費用を、1ドルのインフラ強靭化で4ドルの再建事業を削減できると言われており、経済的にも合理的なアプローチです。
これらの支援は、2030年までの世界的な防災行動指針である「仙台防災枠組」の優先行動3「強靭性のための災害リスク削減のための投資」に該当する取り組みです。

(2)災害リスクのリスク理解および防災ガバナンスの強化

支援対象国において、気象・地震観測などの科学的根拠に基づき災害リスクが把握され、効果的、効率的に防災対策事業が推進されるための制度や組織の強化(防災ガバナンスの強化)を支援します。
具体例としては、気象や地震に関する観測・解析能力の強化、過去の災害や災害発生頻度の理解、防災に係る法律や計画、白書の策定、防災関係機関の能力強化などが挙げられます。
これは、仙台防災枠組の優先行動1「災害リスクの理解」及び優先行動2「災害リスク管理のための災害リスクガバナンスの強化」にあたる取り組みです。

(3)「Build Back Better」の推進

支援対象国で、大規模な自然災害が発生してしまった際は、災害からの教訓を活かし被災地を含む国全体が再び同じ被害を受けないよう、より災害に強い社会の構築を目指して、Build Back Betterの考え方を推進し、計画策定やインフラ再建に係る復旧・復興支援を行います。
これは、仙台防災枠組の優先行動4のうち「復旧・再建・復興におけるより良い復興(Build Back Better)」にあたる取り組みです。

その他取組み、関連資料

関連資料等