ガバナンス

【ガバナンス】

課題の現状

ガバナンスとは、国の安定・民主的発展に向けて資源を効率的かつ国民のニーズを反映できる形で運用するために、政府や市民社会、民間セクター間で協働・意思決定する制度・仕組みであり、開発や援助により「誰一人取り残さない」形でその恩恵を受けるためにも重要な基盤となります。

しかし、途上国では自由で公正な選挙が実現されていないことや、立法機能、行政監視機能および国勢調査機能が十分でないこと、加えて、民主制度の基盤となる自由なジャーナリズムが十分に発展していないなどの課題が度々挙げられています。

また、「法の支配」が確立されていないために、途上国では国民に対して公平・公正・効率的な紛争解決制度を十分に提供できていないことや、市場経済を支えるための基本的な法律が整備されていないこと、政策を実現するための立法プロセスが非効率・不透明であることが課題となっています。

加えて、途上国の行政機能強化も公正で包摂的な社会のための重要課題です。新興国では、行政構造が脆弱なため開発の効果が長続きせず、国内格差も生じています。政治・社会不安や地理的・気候的条件によって成長から取り残されている国では、行政機能強化が安定的な開発の基盤となります。

さらには、暴力的過激主義の影響が顕在化するようになってきているなか、公正、民主的で強固な統治能力を強化することや、民主的な警察制度の確立、及びテロ等の国際的な脅威に対する治安維持機能の強化などもますます重要になってきています。

JICAの方針

公正で包摂的な社会の実現には、人身や言論の自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的な価値を理念として共有する一方で、発展段階や政治体制が異なる多様な国家に合わせたアプローチが必要になります。開発途上国のガバナンスにおいては民意が政府運営に適切に反映される仕組みと環境が不可欠となりますので、JICAは以下のような立法・行政・司法が効果的に機能するための制度構築と機能強化への支援を実施しています。

  • 民主化の促進と定着:選挙管理機関の能力開発や、議会の立法機能や行政監視機能の強化、公共放送局の整備・強化支援、自由なジャーナリズムの発展支援
  • 法の支配の確立:裁判手続や調停制度など、紛争解決制度の改善、経済活動の基盤となる法令や手続の整備、政策立案過程の透明化や効率化などを目指した支援
  • 行政の機能強化:行政改革や公務員制度等の支援、政府幹部および中央・地方公務員の人材育成体制強化、市民や民間の参加・協働を踏まえた地方行政による開発計画策定や事業実施体制強化支援
  • 公正・民主的な統治能力の強化:地域警察を始めとする警察制度の確立や警察組織・人材の能力向上支援、深刻化するテロの脅威に対する犯罪予防・抑止等に対応しうる治安維持能力の強化や、薬物犯罪、サイバー空間等の実現に向けた能力強化支援

課題別指針

SDGsポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

「ガバナンス」が援助の世界で重要な概念として取り上げられるようになったのは冷戦が終結した1990年代以降になります。この頃から開発援助にあたって人権の擁護や民主化の促進に配慮することにより援助を必要としている人々に開発の成果が届いているかどうかを重視するようになりました。特に、途上国政府及び受益者自身が開発への強い意志を持ち、当事者としての責任を分かち合いながら主体的に開発に取り組むための「オーナーシップ」の醸成が重視されるようになりました。

また、2000年の国連ミレニアム宣言(MDGs)では、開発と貧困削減の目標達成は「とりわけ国内のよい統治にかかっており、また、国際レベルでのよい統治、及び金融・通貨・貿易体制における透明性にもかかっている」としたうえで、「民主主義を推進し、法の支配並びに発展の権利を含む、国際的に認められた全ての人権および基本的自由の尊重を強化する」ことを謳っていました。

これらの経緯を踏まえ、SDGsゴール16においては、法の支配および司法アクセスの提供(16.3)、汚職・贈賄の減少(16.5)、効果的で説明責任があり透明性が高い公共機関の発展(16.6)、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定の確保(16.7)といったガバナンスにかかる目標が設定されました。

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