jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

事業展開の方向性

1 複合的危機下での「質の高い成長」とそれを通じた貧困撲滅

「国づくりは人づくり」の考えの下、日本は人材育成や組織能力強化、質の高いインフラの整備、さまざまな制度の構築などを支援し、開発途上国の経済成長を実現します。それを「質の高い成長」として、貧困削減を持続可能な形で進め、災害や危機への対応力を高め、一人一人が尊厳を持って幸福に生きられる豊かな社会の実現を目指しています。

質の高い成長とは、誰一人取り残さない「包摂性」、自然災害や経済危機などの被害を最小化、迅速に回復する「強靱性」、世代を超えて経済・社会・環境が調和する「持続可能性」を兼ね備えた成長を指します。

JICAは、開発途上国の質の高い成長を実現するため、農家の所得向上や食料安全保障強化、資源・エネルギーのサプライチェーン構築、民間企業の投資環境整備など、経済社会の自立性の強化に取り組みます。また、債務持続性にも配慮しつつ、鉄道、道路、橋梁など質の高いインフラ整備を進めます。

2 平和・安全・安定した社会の実現、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化

開発途上国では、地政学的な緊張や紛争などによる平和と安定の問題の深刻化、民主化・人権擁護に逆行する動き、海賊行為やテロなど、平和で安定した社会が脅かされています。

こうした脅威に対し、JICAは危機を予防し対応するための人材・組織の能力強化を図り、人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)を推進し、フィリピンのミンダナオなどの紛争影響地域で、暴力的紛争を発生・再発させないような社会の平和と安定に向けた協力に取り組みます。また「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化を図り、日本と世界の平和と繁栄に貢献します。

このために、開発途上国の主体性を重んじ、関係者間の信頼を醸成しながら、各国における法の支配の確立、グッドガバナンスの実現、民主化の促進・定着、基本的人権の尊重のための人材育成などを進め、また、海の安全性を確保するための海上保安能力の強化などにも取り組んでいきます。

人道支援・開発・平和構築に携わる多様なアクターが緊密に連携し相乗効果を発揮するアプローチ。

3 複雑化・深刻化する地球規模課題への貢献

感染症や気候変動など、国境を超えて人類が共通して直面する課題は、国際社会全体に大きな影響を与え多くの人々に被害をもたらします。特に開発途上国の貧困層など、脆弱な立場に置かれた人々により深刻な影響をもたらす傾向にあります。

JICAは、気候変動対策をはじめとした地球規模課題に取り組み、パリ協定の目標実現に向けて開発途上国の対応能力向上のため、緩和策と適応策への協力を推進します。開発途上国の環境と調和した社会の形成や環境管理能力の強化、生物多様性の主流化や海洋環境、森林、水資源の保護など、自然環境保全の取り組みを強化します。

また、SDGsの達成に向けて、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進、日本の防災・減災の知見を生かした防災協力、万人のための質の高い教育の推進などに取り組みます。

4 開発途上国で培った知見・経験を日本社会との間で循環させて生かす「環流」

開発協力大綱では「共創と連帯に基づき生み出した新たな解決策や社会的価値を日本にも環流させることを目指す」とうたわれており、社会課題の解決策を日本と相手国双方向で循環して生かす「環流」を国際協力の重要な要素としています。

JICAの協力を通じた双方向での社会課題の解決事例が日本各地に生まれつつあります。例えば、長年紛争の影響を受けてきたコロンビアやパキスタンの行政官が北海道芽室町での研修に参加し、芽室町が推進してきた官民共創による若者世代を巻き込んだ住民参加型のまちづくりの手法を学び、自国の行政の改善に生かしています。芽室町にとっても、両国との対話はまちづくりの課題に対する認識を改める契機となり、若者世代の国際視野の醸成や女性のまちづくりへの主体的参画につながっています。