jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

柱2:外国人労働者の人権尊重

JICAは適正な送出制度の構築のために「外国人労働者の人権尊重」に取り組んでいます。外国人労働者は、渡航前に仲介者へ手数料を支払うために多額の借金を背負わざるを得なかったり、受入れ国の就労や生活に関する正しい情報を知らないまま送り出されたりするなど、弱い立場に置かれやすい存在です。送り出し国の関連政策や制度の整備・運用の改善を支援することを通じ、こうした課題を解決することは「人間の安全保障」の観点から極めて重要です。

JICAの取組み事例

課題別研修を通じた送出国政府の能力強化

課題別研修「経済成長とディーセントワーク実現に向けた海外就労者の送出し及び帰国後のキャリア開発支援に係る労働政策」

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近年、海外就労者は増加傾向にあります。海外で培った技能、技術又は知識を帰国後に自国で活かすことにより、自国の経済成長に貢献することが期待されていますが、帰国後の就労が困難など労働者の送出国において課題も多くあります。日本は、20世紀半ばまでは労働者の送出国でしたが、現在は送出国との間の取極等に基づき、受入国として様々な国籍を持つ人材を受け入れています。日本は社会情勢の変化に合わせた労働・雇用政策の改善の経験や送出国の経済成長に寄与する人材育成の観点から様々な知見を蓄積しつつあります。このような知見の共有のみならず、日本で働く外国人材が帰国後に活躍できるようになるため、送出国における労働環境整備や帰国後を見据えた能力開発をより一層考慮する必要があります。本研修コースは、労働者の送出国において、送出や帰国後の就労・キャリア開発に従事する人材を対象に、労働者の送出及び帰国後の労働者の就労支援に関する諸制度・運用の改善を図ることを目的として実施します。送出国のみならず、受入国としての日本が相互に学び合える研修を目指しています。

海外就労者の人権尊重を通じた適正な受入れ促進

ベトナム人海外就労希望者の求人情報へのアクセス支援プロジェクト

労働者の適正な受入において、強制労働や受入国側の法令違反等、リクルートメントにおいて脆弱な立場に置かれるリスクを削減し人権尊重を促進していくことは非常に重要です。ベトナムからの技能実習生は、高額な募集・斡旋手数料及び関連費用の支払のリスクが高く、来日前に平均68.8万円*1を送出機関又は仲介者(送出機関以外)に対して支払っており、この金額は他国の技能実習生による支払平均額54.2万円よりも高額になっているという現状があります。技能実習生の送出は、ベトナム政府から認可を受けた送出機関が担っていますが、技能実習制度や日本での生活・就労に関する情報等、渡航準備に必要な様々な情報が不十分であることが多く、そういった情報への直接的なアクセスも限られています。このような背景から、海外就労希望者本人が十分な情報を得られないまま、政府認可外の仲介斡旋者を頼ってしまい、悪質な仲介斡旋者に法外な仲介手数料を支払うことが問題となっており、ベトナム政府は労働者海外派遣法の改正などを通じて課題解決に取り組んでいます。
JICAはベトナム政府による日本への技能実習生等、海外就労希望者に対する支援体制を強化することを目的とし、2023年8月から技術協力を行っています。
具体的には、海外就労希望者が透明性の高い情報を基に送出機関を選択できる求人情報システムの構築・運用・普及等を通じベトナム政府の支援体制を強化し、海外就労希望者自身が十分な情報に基づく意思決定ができ、リクルートメントにおける高額な募集・斡旋手数料及び関連費用の支払いのリスク削減することで、海外就労者の同国産業振興への貢献を促します。
また、本技術協力と並行して、ベトナム政府や国際労働機関(ILO)、JP-MIRAIとともに、「公正で倫理的なリクルートメントイニシアティブ(VJ-FERI)」を2023年4月に発表し、技能実習生の訪日前手数料をゼロにする等、送出機関、監理団体、受入企業等による国際水準に則った自発的な枠組みの構築を推進しています。

*1出典:技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果(法務省) :https://www.moj.go.jp/isa/content/001377469.pdf

外部パートナーとの連携

JICAは、労働者の送出国などでの人権尊重の取組みを促進するため、多様なパートナーとの連携を図っています。
そのうち、JP-MIRAI(責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム)は、日本国内の外国人労働者の課題解決に向け、2020年11月に民間企業・地方自治体・NPO・学識者・弁護士・JICAなど多様なステークホルダーが集まり、設立されたプラットフォームです(2023年6月以降は一般社団法人JP-MIRAIが事務局を運営)。会員数は増加傾向にあり、2025年12月末時点で約900団体/人になっています。
JP-MIRAIでは、2022年から外国人労働者に対し、日本での暮らしや就労に役立つ情報提供のための総合サイト「JP-MIRAIポータル」を運営しています。また、外国人労働者の労働・在留・生活上の困りごとを受け付けるため、「JP-MIRAIアシスト(相談窓口)」を開設しています(いずれも23言語対応)。2024年には、職場環境をチェックし相談・救済につなげる機能(人権チェックリスト)や、職場の満足度を調査するアンケート(ワークレビュー)のサービスをリリースするなどしています。
JICA、JP-MIRAIは、それぞれの活動から得た情報や知見を共有し、お互いの活動の更なる改善に役立てています。

(注)主として外国人材受入れに関わる企業・団体、個人の方向け

(注)主として日本で働く(働きたい)、暮らす(暮らしたい)外国人の方向け

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