新型コロナウイルス感染症はグローバル化を背景に短期間で全世界に拡大し、すべての人々の命と健康を脅かすだけでなく、経済活動の停滞や、それに伴い貧困に苦しむ人の増加、子どもたちの学習機会の喪失など、将来世代にも影響を及ぼしています。これまでJICAは「人間の安全保障」と「質の高い成長」の実現のため、世界約150か国に協力してきました。この経験をもとに、JICAは命を救うための協力を強化すべく、2020年7月に「JICA世界保健医療イニシアティブ」を始動させました。
「人間の安全保障2.0」と「UHC」を達成するため、途上国の保健医療システム強化を目指し、「治療」、「警戒」、「予防」の3つの柱への取り組みを強化しています。
JICA世界保健医療イニシアティブとは?
感染症診断・治療体制の強化
誰もが安心して治療を受けられる質の高い保健医療体制の構築に貢献するため、これまでの協力で培った中核病院とのネットワークも活用しつつ、以下の3つに取り組みます。
- 1 . 中核的な病院約100か所の新増設・拡充や医療人材の育成を通じた医療提供システムの強化
- 2 . COVID-19による重症化や死亡を防ぐためのケースマネジメント(診断・治療・ケア)の強化
- 3 . 遠隔医療技術を活用した集中治療の強化等
感染症研究・早期警戒体制の強化
COVID-19の流行拡大を防ぎ、将来の健康危機への備えにも貢献するため、これまでの協力で培った感染症検査・研究拠点とのネットワークも活用しつつ、以下の3つに取り組みます。
- 1 . 感染症検査・研究拠点の新増設・拡充や専門人材の育成
- 2 . COVID-19の検査体制の整備を通じた感染者の早期発見や接触者追跡の強化
- 3 . 国境水際対策の強化等
感染症予防の強化・健康危機対応の主流化
感染症の脅威に強靭な社会の構築に貢献するため、以下の3つに取り組みます。
- 1 . COVAX(注)等と連動しつつ相手国内でのCOVID-19ワクチン普及
- 2 . UHCを目指した必須保健医療サービスの提供体制や医療保障制度の拡充
- 3 . 水・衛生、都市計画、教育、栄養、その他必須社会サービスの提供など保健医療分野以外の開発課題における感染症対策の主流化等
(注)COVID-19に対するワクチンの開発や公平なアクセスを確保するための国際協働メカニズム
scroll