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36. アフリカ都市周縁地域の水・衛生由来下痢リスク可視化モデルの構築

みなさん、こんにちは。東北大学大学院 環境水質工学研究室 修士1年の鈴木一平です。
私は現在、ザンビアのコンパウンド(いわゆる、スラム街)を対象に、生活空間における下痢リスクを可視化するモデルの開発に取り組んでいます。
皆さんは「下痢」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。
日本では、たとえ下痢になっても、適切な治療を受ければ命に関わることはほとんどありません。しかし、アフリカでは事情が大きく異なります。
アフリカを含む発展途上国では、多くの人々が安全な水とトイレを利用できていません。
糞便の管理が適切にされないため、糞便由来の汚染が生活空間全体に広がっています。
下痢は、糞便中に含まれる病原性微生物を摂取することで発症する水系感染症ですので、汚染された水や食べ物、汚れた手などを介して、多くの住民が下痢に感染してしまいます。
発展途上国では医療体制がぜい弱で、十分な治療が受けられないことがよくあります。下痢はアフリカ・サブサハラ地域において、5歳未満の子どもの死亡原因の第2位を占めており、ザンビアではコレラ(下痢の一種)のアウトブレイク(流行)が頻発しているなど、人々に深刻な健康被害を与えています。
病原性微生物は肉眼では確認できず、住民は汚染経路や健康リスクを認知しづらいです。
つまり、コンパウンドの住民は、生活空間のどこが汚れていて、どんな行動が下痢に感染するリスクが高いのかを、把握できていません。
そのため、住民は生活している中で知らぬ間に病原体に曝露し、下痢に感染して命を落とすリスクがあります。
しかし、もし生活空間の汚染状況が「見える化」されれば、住民はリスクを認識し、自発的に衛生的な行動をとることが期待できます。
たとえば、「食事前に手を洗う」「机を消毒する」といった日常的な行動の積み重ねが、病原体への曝露量を減らし、結果的に下痢の感染リスクを下げることにつながるはずです。
こうした背景から、私は主に以下の2点に取り組んでいます。
①デジタルPCR(プロジェクト・ニュース No.27参照)という機械を用いて、複数の腸管病原性微生物を一斉定量する(つまり、病原体の数を測定する)方法を開発する
②サンプリング地点での測定値をもとに、病原性微生物量を推定して補完することで、生活空間における下痢リスクを単純に可視化するモデルを開発する
今後、ルサカ市内において3か月程度の長期的な現地調査を予定しています。
私の所属する環境水質工学研究室では、これまでザンビアを対象に研究を行った例がなく、すべてが手探りの状態で研究を進めています。わからないことも多い状況ですが、SPLASHプロジェクトの皆様のお力をお借りしながら、少しずつ前に進めていけたらと考えています。

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鈴木一平/東北大学大学院 工学研究科 土木工学専攻 環境水質工学研究室 修士1年

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ザンビア大学の実験室から見える景色