第2年次果樹普及農家の第1回研修(2017年10月〜11月)

2017年11月27日

プロジェクト対象5県の農業普及所から推薦された第2年次の果樹デモンストレーション・育苗農家・フォーカスビレッジ(FV:特定果樹の集団栽培を進める集落)約100農家の圃場確認調査を経て、最終的に選定された87農家の内、デモンストレーション農家32、育苗農家2、FV農家6(各集落代表1名)の計32農家を対象に、10月下旬から11月初旬にかけて第1回研修を実施。今年は対象農家が昨年の倍以上に増えたことからグループを2組に分け、10月23日〜29日はプナカ県(デモ農家7、育苗農家2、FV農家2)、ダガナ県(デモ農家4、FV農家1)の計16名。10月30日〜11月5日はワンディフォドン県(デモ農家7、FV農家2)、チラン県(デモ農家4、FV農家1)、今年初めとなるガサ県(デモ農家2)の計16名が参加しました。

1日目の研修はバジョARDCで、プロジェクトの普及活動と農家の位置づけ、対象果樹、3回に分けて行われる研修とその合間に行われる植栽レイアウト・定植と言った農家での圃場作業と管理など農家の責務を説明して農家の参加意思を確認。ARDC圃場の見学と植栽穴の準備実習、更に個々の農家の営農状況等を把握し将来のインパクト評価に資するためのベースライン調査を実施。
プロジェクトで普及を想定している果樹の優良な栽培事例がこの地域にはまだないことから、2日目からは東部のモンガル県に移動し、JICAが2004〜2014年にかけて実施した類似プロジェクト(東部2県生産技術開発・普及支援プロジェクト:AREP、園芸作物研究開発・普及支援プロジェクト:HRDP)の拠点センターであるウエンカルARDCおよび周辺の普及農家で実際の栽培状況などを見学しました。
JICAの技術協力を経て多種多様な果樹・野菜の栽培が行われ、近年は国際機関(IFAD)の支援を受けて施設園芸を含めて更に活動を拡大しているウエンカルARDC(標高1700m)では落葉果樹を中心に見学。標高600mのリミタンARDSCではアボカド・マンゴー・ドラゴンフルーツ・文旦などの常緑果樹。標高1700〜1900mの普及農家で果樹・野菜栽培を見学。夫々の訪問先で殆どの農家は初めて口にするキウイ・甘柿・和梨・文旦を試食して、ローカル種とは全く異なる甘さと瑞々しさを実感。普及農家から「収穫樹齢を迎えた果樹1本あたり約5千〜1万円相当/年の収入を得ている」との話しを聞いて研修農家は興奮気味で、農家の実体験を踏まえた「肥沃な土地、管理しやすい家の近くに植えること。整枝剪定・摘果が重要」と言った助言も素直に伝わったようです。
雨期明け直後、数年間続いている拡幅工事で状態の悪い東西国道約410キロメートルを片道丸2日かけての移動は大変でしたが、百聞は一見に如かずで、圃場確認時点ではアボカドやマンゴなどに興味を示し、梨や柿については市場性の低いローカル種のイメージから余り関心を示さなかった農家が、研修帰路には「甘柿・和梨・キウイをできるだけ植えたい。もっと条件の良い場所に植栽するよう家人と相談する」と言った声が多く聞かれ、この研修を通じて保守的で頑固な農家の意識は大きく変革されたようです。

プロジェクトでは11月にかけて再度全対象農家を訪問して植栽レイアウトを行い、来年1月下旬に定植・栽培管理の実技研修を経て苗木配布と定植、夏には野菜栽培と樹体管理(摘果)研修を行う予定です。

【画像】

第1グループ(プナカ県、ダガナ県)(於:ARDCバジョ)

【画像】

第2グループ(ワンディ県、チラン県、ガサ県)(於:ARDCウエンカル)

【画像】

第1日目の講義(ARDCバジョ)

【画像】

実習:植栽穴を掘り土と堆肥を混ぜながら埋め戻す(ARDCバジョ)

【画像】

初めて見るドラゴンフルーツに興味津々(ARDCバジョ)

【画像】

定植後2年で多くの結実を得ているレモン(ARDCバジョ)

【画像】

東部でのJICA園芸プロジェクトの成果紹介ビデオを視聴(ARDCウエンカル)

【画像】

たわわに実った各種の柑橘(ARDCウエンカル)

【画像】

青年層を対象に普及を試みている近代的な施設園芸(ARDCウエンカル)

【画像】

殆どの農家には初めてのキウイ・甘柿の試食(ARDCウエンカル)

【画像】

大きな文旦に驚き、試食して更に驚く(ARDSCリミタン)

【画像】

たわわに実った柿を前に栽培農家の説明を聞く(前プロジェクト普及農家)

【画像】

初めて見る大きな和梨[愛宕]は大人気。この後試食(前プロジェクト普及農家)

【画像】

拡幅工事で路面が荒れ凹凸の激しい道路で、車高の低いミニバスから一旦降りて難所を通過(東西縦断国道)