第2期果樹普及農家育成プログラムの第3回研修(2018年6月)

2018年7月29日

6月は普及研修が目白押しです。中旬には、第2期果樹普及農家育成プログラムの第3回目となる研修が14~15日に実施され、プロジェクト対象5県から選抜された30名の果樹普及農家が参加しました。果樹普及農家は、期待される役割や位置付けに基づき1)果樹展示農家、2)果樹育苗農家、3)果樹フォーカスビレッジに分類されます。それぞれ目的や位置付けは異なりますが、三者に共通する将来的な役割は、同地域の果樹栽培普及促進において、農村・農家レベルでの核となることです。具体的には、果樹栽培の優良先駆事例となること、そして、自身が得た技術や経験を近隣の農家に伝える民間普及員の役割を担うことです。

研修1日目は、プロジェクトの活動拠点の一つ、ミトゥン農業研究開発サブセンター(以下ミトゥン支場)で行われました。ミトゥン支場は、プロジェクト対象5県のうち、主に南方のチラン県とダガナ県を管轄しています。バジョ農業研究開発センター(以下バジョ・センター)と同様に様々な果樹・野菜が栽培されていますが、特に柑橘種苗の生産拠点という役割があります。ミトゥン支場での研修では、それら柑橘の摘果指導を行いました。2日目は場所をバジョ・センターに移し、今度はナシやカキ等の温帯落葉果樹について摘果方法を指導しました。

日本の果樹農家では、摘果は良質な果実を生産する上で欠かすことのできないプロセスと誰もが認識していますが、ここブータンでは、そもそもが粗放な栽培形態であることに加え、個々の品質ではなく、総体の重量で価格が決まる販売習慣が足枷となり、せっかく実った果実を敢えて落とすことになる摘果の意義を理解し実践させることは容易ではありません。しかし、JICAが長年にわたり園芸技術協力を実施した東部地域では、一般の農家レベルでも摘果が浸透し、果実のブランド化が進展しつつあることから、ここ中西部地域においても、我慢強く普及に取り組むことで、同様の成果が得られることを目指しています。

果樹普及農家育成プログラムの研修は3回構成で、今回が最終となります。一連の研修を終えるに当たって、全ての参加者に対し、バジョ・センター長と日本人技術専門家から修了証書が授与されました。計3回の研修を通じて、参加農家は果樹栽培のイロハを学び、自身の果樹園を造成することができました。しかし、彼らにとっても、私たちプロジェクトにとっても、本プログラムの修了は決してゴールではなく、将来に向けてのスタートに他なりません。彼らの植えた苗木が順調に育ち、実った果物が市場に並び、更には彼らの成功を追随する農家が現れて初めて、一つのゴールに到達したと言えるのです。

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ミトゥン支場での開講式の様子

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柑橘の摘果指導を行う日本人専門家

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研修では野菜栽培についても学びます

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丁寧に指導を行うカウンターパート

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バジョ・センターでのナシの摘果実習

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夏野菜の採種実習も行いました

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プログラム評価のためのアンケート調査

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果樹普及農家育成プログラムの修了式