第4回・第5回農業普及員研修(2018年6月)

2018年7月29日

JICAは世界各地で様々な分野の技術協力プロジェクトを実施しています。その活動はある技術の開発や普及であったり、制度やシステムの構築であったり、施設や機材の整備であったりと多岐にわたりますが、全てのプロジェクトの根底に流れる理念は、やはり「人づくり」という言葉に尽きるのではないでしょうか。この点については、本プロジェクトも決して例外ではありません。活動拠点の圃場整備と、そこで行われる農業技術開発を進める中で、技術の発展と普及を担う人材の育成に取り組んでいます。

プロジェクトによる人材育成の対象は、大きく三つのグループに分けられます。まずは、カウンターパートと呼ばれる農業研究開発センターの技術者たち。プロジェクトの日本人専門家が日々の活動を共にする同僚であり、地域の農業発展を担う中堅人材です。次に、生産者たる地域の農家たち。園芸農業振興を目指すプロジェクトの最終裨益者です。そして、両者をつなぐ存在としての農業普及員。各郡に配置された普及員は、農家にとって最も身近なサポーターであり、プロジェクト活動の中では、モデル農家の選抜や新規作物の導入に際し、プロジェクト(=農業研究開発センター)と農家を仲立ちする役割が期待されます。

プロジェクトでは、普及活動の一環として、彼ら農業普及員の能力向上と、彼らを通じ種々のサポートを農家へ届けることを目的に、園芸技術研修を実施しています。

去る6月には、二度の農業普及員研修をバジョ農業研究開発センターで実施しました(通算で第4回および第5回)。研修のテーマについては、園芸農業の振興というプロジェクト目標を踏まえた上で、どのような支援や情報を農家に届けるべきか、という点を重視して決定されます。

第4回研修では、スイカ、カボチャ、ズッキーニ等夏野菜の収穫を取り上げました。これは、同野菜の植え付け実習を行った第3回研修(3月15日)の続編とも呼べるもので、原則同じ普及員が参加し、収穫実習の他、前回研修後に農家へ配布した苗の栽培状況等について情報交換を行うとともに、次シーズンの普及方針について話し合いました。失敗もあれば成功もありという状況で、普及への道のりは平坦ではありませんが、スイカ栽培で利益を上げた農家の収穫がブータン国営放送BBSニュースで放映された結果、周辺農家の栽培意欲が徐々に高まってきていることなどが報告され、園芸作物としてのポテンシャルを確認することができました。

第5回研修は、高地野菜端境期生産をテーマに実施しました。ブータンは夏でも冷涼な高地が多いため、夏季に冬野菜を栽培する端境期生産によって収益が期待できます。研修では、その意義と利点を普及員に伝えました。研修の最後には、プロジェクトが生産した冬野菜の種子を彼らに託し、試行栽培のため、各郡該当地域の農家へ配布するよう依頼しました。

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夏野菜の栽培状況について情報交換を行い、今後の普及方針について協議しました。(第4回研修)

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スイカの収穫実習では、熟期の見定めについて指導しました。(第4回研修)

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種子の採取も兼ねスイカを試食しました。甘さにびっくり。(第4回研修)

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研修恒例の圃場視察。新しいものに触れる機会が少ない普及員にとっては貴重な機会です。(第5回研修)

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農家での試行栽培用に、冬野菜の種子を普及員に配布しました。(第5回研修)

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研修に参加した各郡の農業普及員たち。(第5回研修)