冬休み子ども向けアウトリーチプログラムを開始

2022年12月31日

ブータンでは、12月17日の建国記念日が終わると、初等・中等教育学校は正式に冬休みに突入します。極寒の高地をのぞき、全国の多くの地域では、1月末までが冬休みとされています。

私たちのプロジェクトの成果4には、「(ファブラボCSTが)個人/市民および学校が自身のニーズに取り組み、スキルを高め、社会・経済的問題対処のためにカスタマイズされた製品を開発するためのオープンイノベーションのプラットフォームを提供」するとうたわれており、そのうちの活動の1つとして、「教職員と学生が科学技術の実演・実験のために学校を招待する、アウトリーチプログラムを開発」するとあります。

このため、ファブラボCSTでは、冬休み小中高生向けアウトリーチプログラムとして、「MESH」「KeyTouch」「micro:bit」「3Dプリント」「レーザー加工」などのメニューを用意して、早くから参加者募集を行ってきました。ただし、IoT関連デバイスについては数に限りがあることから、募集人数は控えめにして行わざるを得ませんでした。

その第一弾が、12月26日から29日まで開催されたソニーのMESHブロックとアプリを使ったIoTキャンプでした。2日間のプログラムとし、午前の部は3年生から7年生まで、午後の部は8年生から12年生までと学年別でグループ分けを行い、これを2回開催する計画としました。結果的に、合計25人の小中高生が参加しました。

科学技術単科大学(CST)では、教員や学生もまた冬休みに入って多くが不在となりました。しかし、幸いなことに、ファブラボCSTでのインターン実習を希望する学生が6人いました。プロジェクトでは、これらの学生に対して事前にMESH ブロックとアプリの操作をブリーフィングし、さらにファブラボの工作機械を利用していくつかの「小道具」も製作し開催に備えました。第1バッチ(12月26、27日)は山田浩司専門家が午前も午後もリードし、インターン実習生は子どもたちのテーブルに付いて助言を行いました。第2バッチ(12月28、29日)になると、実習生にもリード役を担ってもらいました。

MESHは、子どもたちが思い付いたアイデアをすぐに試して検証することを可能にする、非常にパワフルなアイデア出しツールです。プログラムコードを書く必要はなく、端末上でブロックとブロックをつなぐことで、短期間でPDCAサイクルを回し、プログラムの改善検討も行うことが体験できます。

キャンプでは、MESHブロックのさまざまな組み合わせ方をラップトップやタブレットといった端末上で試してみるだけでなく、実際にMESHブロックをファブラボの施設や小道具に実装してみて、実際にプログラムが機能するかどうか、確認することにも時間を割きました。

「体の動きに合わせてスケッチブック上に絵を描くロボット」「室温によって自動的にスイッチが入る扇風機」「体の動きに応じて異なるサウンドが流れるエレキギター」「目標額が貯まればお祝いのメッセージが流れるけれど、途中で開けてしまうとリセットされてしまう貯金箱」「ふたを開けるとオルゴールが鳴りはじめるギフト箱」「自動信号機」「部屋の明るさによって自動的に照度が変わる照明」などのプログラムを試作することにより、子どもたちは楽しくIoTの原理を学ぶことができました。
冬休み子ども向けアウトリーチプログラムは、1月にも開催を予定しています。

【関連リンク】

【画像】

ブレッドボードにLEDランプとジャンパーワイヤーをどう組み合わせるか、学生インターンから教わる(写真/山田浩司)

【画像】

中高生のレシピ製作を大学生インターンが見守る(写真/山田浩司)

【画像】

出来上がった貯金箱のシステムを試してみる小学生グループ(写真/山田浩司)

【画像】

貯金箱のシステムを試す中高生グループ(写真/山田浩司)

【画像】

エレキギター演奏を見せる小学生参加者(写真/山田浩司)

【画像】

レシピ製作の前に、アイデアをスケッチブックに描いてみる(写真/山田浩司)