コスタリカ研修

2017年1月13日

当プロジェクトのカウンターパート(環境省、林野庁スタッフ)が、生物多様性保全や生物回廊の取り組をしているコスタリカを訪問しました。2016年5月24日(火)〜28日(土)の日程で行われたコスタリカ研修では、コスタリカ国家保全地域庁(SINAC)で関連する法令や政策を学ぶとともに、生物保護区や生物回廊の現場で行われている実際の活動を視察しました。

コスタリカの生物回廊管理において特筆すべき点としては、生態系サービスへの支払い制度(環境税や寄付金などからなる基金からの支援、PES: Payment for Ecosystem Services)を積極的に活用していることが挙げられ、生物回廊内での具体的な取組みとしては、植林、荒廃した保全地区の回復、環境教育、環境保全型農牧業などがあります。

初めに訪問したコスタリカ南東部のタラマンカ生物回廊では、地元のNGO(注1)の主導で生物回廊管理を実践しており、NGOが地域住民とともに環境教育や自然環境に配慮した農業を進めています。周辺の農家では、有機肥料を活用した栽培作物の多様化や、カカオ栽培による生計向上と森林保全の両立に向けて積極的に活動に取り組んでいました。

続いて訪問したJICA「参加型生物多様性保全推進プロジェクト(MAPCOBIO注2)」が実施されているバラ・デル・コロラド野生生物保護区では、保護区内の農家が養豚を導入して畜産バイオガスを家庭での光熱に利用する取組みや、住民参加による渡り鳥調査など、周囲の環境に配慮しつつ生産活動に従事しているところを視察しました。
また、乳酸品生産農家が組織した生産者協会は、生産したチーズを買取り、中間業者を排して共同で直接市場に卸す取組みを実施していました。合意した農家間で組織化、協働することにより、利益の向上、生計の向上につながっているとのことでした。

当プロジェクトでも今後コミュニティ活動を進めていく予定ですが、モデル農家のような取組みや有志による組織化など、本研修で学んだ事例をホンジュラスにおける生物回廊の取組みに反映させていきたいと思います。

注1:Asociación Corredor Biológico Talamanca Caribe
注2:Proyecto para la Promoción del Manejo Participativo en la Conservación de la Biodiversidad

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タラマンカ生物回廊を管理するNGOによる講義

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生物回廊内の農家視察。有機農法を取り入れ、農作物の多様化に取り組んでいる。

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養豚によるバイオガス活用の取組み

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保護区内の小学校では環境教育に力を入れており、子供たちが太陽や水、ひまわり、木こりなどの役を演じる劇を通して自然の大切さを学んでいた。