モンゴルにおける蘇生教育について協議されました

2018年8月3日

8月3日、日本の救急医療の専門家の訪問に合わせ、モンゴルにおける蘇生教育の展望について、保健省および保健開発センター専門官、そしてモンゴル蘇生協議会のメンバーたちと協議しました。

モンゴルでは、現在同じテーマで異なる内容の蘇生研修が実施されていることがあります。海外の団体が、モンゴルの人たちのことを思い研修を実施していますが、団体ごとに内容が異なっていたり、国内で広めるための指導者の育成が遅れていたり、様々な理由で効果的に研修を広めることが困難になっています。

プロジェクトでは、AALS研修をモンゴルの救急医たちと開発し、モンゴル人による研修の実施、さらにモンゴルの指導者たちが次の指導者を育成する過程を支援してきました。これにより研修を継続して実施し、かつ地方へも広めていくことが可能になりました。

またモンゴルの医師たちが、自分たちの力で蘇生研修パッケージを開発する過程も支援してきました。一次救命処置研修だけでなく、7月30日~8月2日には、小児や成人患者が心停止に至った場合の高度な救命処置について学ぶ研修を10名のWGメンバーたちと開発し、パイロット研修も実施できました。これにより、モンゴルの医師たちが、モンゴルの医療者のために研修を開発できるようになりました。

これらの活動を、より有効に展開していくため、蘇生教育の質を担保する専門家組織(モンゴル蘇生協議会)や蘇生教育に必要なインストラクターや資機材の管理組織が必要です。プロジェクトからの提案もあり、すでにモンゴル蘇生協議会は設立されましたので、今回の会議では蘇生協議会の役割や蘇生教育に必要な資源管理組織の重要性について、協議をしました。

参加者からは、組織を設立する重要性が理解できただけでなく、自分たちの力で標準化された蘇生教育を全ての医療者が受けることができるものにするため、具体的に実施すべきことについても、熱い発言がありました。

蘇生教育の充実は、全ての医療者、ひいては全ての国民が恩恵を受けるものです。プロジェクトでは引き続きモンゴル人による、モンゴル人のための蘇生教育が、持続可能な形で実施できるようになるように支援を続けます。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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モンゴル蘇生協議会のメンバーたちと会議の参加者(左から3番目は蘇生協議会の中心であるAltanskh医師、4番目は国立国際医療研究センターの救命救急センター長 木村昭夫医師)