オルホン県地域診断治療センターにおいて、総合診療研修が進められています(続報)

2018年11月13日

2018年10月22日、オルホン県地域診断治療センター(RDTC)において、モンゴルで初めてとなる卒後臨床研修(総合診療研修)が開始されました(10月22日号プロジェクトニュース参照)が、その後順調に研修は進められています。今回は、その続報です。

4名の研修医たちは、2名ずつ小児科と内科に分かれ研修を始めました。毎朝のように研修医たちはカンファレンスのために研修室に集まります。カンファレンスでは、研修医は指導医たちに自分たちの受け持ち患者に関するプレゼンテーションをし、自分たちが調べてきたことも発表していました(図1)。指導医たちからは、患者の病態や治療方針などについて、研修医に質問が投げかけられていました。決して一方向で教えるのではなく、時に笑いもあり、とてもいい雰囲気で研修医たちとともに学びあっていました。

カンファレンスの後はベッドサイドでの回診も行われていました(図2、3)。患者さんの診療に関する指導を直接受ける機会となっており、診療技術だけでなく、患者さんへの接し方など、医療者としての態度も伝える場となっていました。プロジェクトで支援している指導医講習会で育成された指導医たちが、試行錯誤しながらも若い医師たちを育てることに熱心に取り組んでおられる姿が印象的でした。

11月13日には、研修管理委員会が開催されました(図4)。研修医たちのローテーションやプログラムの内容(病院群としての研修内容を含む)、研修医評価の管理など、検討すべき事項は多岐に渡ります。しかし、今年の本邦研修に参加されたOdontungalag副院長が委員長となり、活発な討議が行われ、必要な事項が承認されていきました。委員会のメンバーからの質問に対して、同じく本邦研修に参加されたBatbayar研修部部長から本邦研修で学んだことが説明され、日本での研修が役に立っていることがわかりました。また、病院全体で研修医を育てる雰囲気が醸成されていることが感じられました。

総合診療研修では、研修医たちは内科、小児科など複数の診療科を1年間かけてローテートし、その診療科の基本を学ぶことで医師としての基盤を築くことになります。今後、オルホン県RDTCでの研修が、モンゴルの総合診療研修のモデルとなるように、プロジェクトでは継続して活動していきたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.朝のカンファレンスでプレゼンテーションする研修医

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図2.ベッドサイドでの回診の風景(小児科)

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図3.ベッドサイドでの指導の風景(内科研修)

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図4.研修管理委員会の様子

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図5.保健省の承認を受けた、研修医が使用する研修医手帳の表紙。総合診療医が獲得すべき7つの能力をゲルの天井に模したフレームワークで表現している。