看護師の指導者育成研修(TOT研修)の開発を目的とした活動を開始しました

2019年6月13日

本プロジェクトでは、日本の臨床研修指導医講習会をモデルに、モンゴルにおける指導医を育成するため、TOT研修を開発し、これまで20回以上の研修を実施しています。医師向けTOT研修の成果があがっていることもあり、保健省から要請を受け、今年度より看護師のTOT研修の開発に取り組むことになりました。

2018年10月9~11日、日本人短期専門家の協力を得て、モンゴルの看護師も対象に含めたTOT研修がパイロット研修として初めて開催されています(プロジェクトニュース2018年10月11日参照)。このときは医師と看護師が一緒に研修医育成について考える機会になりましたが、今回は看護師の育成に焦点を当て、看護師を指導する指導者の養成研修を考えることになりました。

研修の開発のため、保健大臣令によりワーキンググループが設置されました。保健省、保健開発センター、三次医療機関の看護師長、モンゴル国立医科大学、モンゴル看護協会などから選出されたメンバーたちと、6月12、13日にキックオフミーティングを開催しました。まず、短期専門家として訪問された橋本看護師、国際医療研究センター国際医療協力局から派遣された深谷看護師から、日本の看護師育成の制度などの説明がありました(図1)。その後、メンバーたちと一緒に、今後の活動方針を共有するとともに、開発する研修の骨子、目標や目的について、2日間に渡り協議しました(図2、3)。

初回のミーティングにもかかわらず、参加者からは多くの意見が出され、活発な議論が繰り広げられました。開始前はうまく議論ができるか心配になることもありましたが、看護師の質を向上することを通し、モンゴルの医療の質を上げるという共通の目標のもと、皆がひとつの気持ちになっていく盛り上がりを感じました。

モンゴルの看護師たちが、自分たちの力で次世代の看護師の能力を高めることにつながる、非常に価値ある活動です。これから半年後に研修が完成していることを目指し、プロジェクトも積極的に支援していきたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.参加者に対し説明する深谷看護師

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図2.参加者から活発に意見が出された

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図3.保健省会議室での議論の様子