総合診療研修で利用する産婦人科研修マニュアルが完成しました

2019年6月28日

2019年1月以降、赤羽医師(国立国際医療研究センター産婦人科)の支援のもと、オルホン県地域診断治療センター(RDTC)の産婦人科医たちが中心になって作成し、モンゴル保健省産婦人科専門委員会で承認を受けた産婦人科研修マニュアル(図1)が完成しました(プロジェクトニュース2019年1月19日参照)。これは今年3月に完成した小児科研修マニュアルに続き、2つ目の研修マニュアルになります。

総合診療研修では、研修医は2ヶ月間産婦人科をローテートして研修します。この期間に経験すべき症例や妊婦健診など、学ぶべき項目については研修カリキュラムで規定されていますが、具体的にどのような内容を学ぶ必要があるかについては言及されていません。そこで研修医が現場で活用でき、また将来地域で診療する際にも参照できるように、ポケットサイズの研修マニュアルが作成されました。

マニュアルの内容は、モンゴル国内で採用されているガイドラインを踏襲し、かつ地域で産婦人科の専門医ではない総合診療医が診療することを意識して、専門医に紹介すべきタイミングなども記載しています。また保健省産婦人科専門委員会の先生たちと連携を取りながら作成しましたが、それにより特定の医療機関の診療内容に偏らず、国内で広く活用できる標準的内容になりました。完成した研修医マニュアルは、最終的に再度産婦人科専門委員会に内容を確認してもらい、モンゴル国内で利用しても問題がないように修正を重ね、承認を受けました。

完成したマニュアルを手にしたオルホン県RDTCの指導医たち、研修医たちは、とても喜んでくださいました(図2)。特に指導医たちは多くの労力を割いて作成に貢献してくれましたが、研修医の育成に役立つ教材ができたことが格別嬉しかったようです。「このマニュアルの作成は、時間も限られていてとても大変だったが、若い先生たちも作成に加わり、一緒に作り上げることができ、自分たちの成長に繋がった」とコメントされていました。

現在、総合診療研修で学ぶべき手技を学ぶための教材を作成しています。今後プロジェクトでは、総合診療研修で活かすことができる救急科や内科の研修マニュアルの開発も支援したいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1. 完成した総合診療医のための産婦人科研修マニュアル

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図2. 産婦人科研修マニュアルを手にして喜ぶ産婦人科の指導医や研修医たち