救急診療マニュアルの作成を開始しました(続報)

2019年8月15日

7月下旬から国立国際医療研究センター(National Center for Global Health and Medicine:NCGM)の寺山医師(外科)を招き、総合診療研修で利用する救急診療マニュアルの作成を支援してきました(プロジェクトニュース2019年7月24日参照)。8月15日、寺山医師の活動期間が終了し、チンギルテイ地区病院で活動内容を報告しました。

これまでNCGMの協力を得て、オルホン県地域診断治療センターの医師たちと、総合診療研修で利用される小児科および産婦人科の研修マニュアルを作成しましたが、チンギルテイ地区病院の医師たちと活動するのは、今回が初めてになります。

マニュアルは、地域で診療する医師たちが救急医療の現場で活用することを意識しています。症候ごとに重症度や緊急度の高い疾患を考えるポイントを挙げるパートと、疾患別に診断や治療法、また上級医への相談や高次医療機関に搬送するポイントなどが盛り込まれたパートに分かれています。

初めての活動でもあったので、当初は困難な局面もありましたが、国立第一病院救急科部長のアルタンスフ医師のアドバイスや寺山医師から、マニュアルの意義や作成方針が共有され、活動の後半になるにつれて順調に作業が進みました。チンギルテイ地区病院で救急医療に関わる医師たちが積極的に関与してくださり、限られた時間ではありましたが、症候に関するパートを無事完成させることができました。

活動報告会では、寺山医師から活動の概要が紹介された後、WGのリーダーから成果物について説明がありました。「マニュアルを作るのは初めてで、最初は作り方もわからず困った。でもアドバイスをもらい、徐々にやり方がわかり、最終的には無理だと思っていたマニュアルのドラフトを完成させることができた。」「マニュアルを作ることで、何よりも自分の知識が増え、研修医の指導によりやりがいを感じるようになった」など、作成に関わった指導医から嬉しいコメントがありました。

今後は、残されたパートの完成を目指してチンギルテイ地区病院の医師たちと継続して活動するだけでなく、オルホン県地域診断治療センターの医師たちやモンゴル国内の救急専門医たちとも協力し、研修医たちにとって最善の教材が完成できるよう、尽力したいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

【画像】

マニュアル作成に関わった指導医たちと

【画像】

ワーキンググループのメンバーたちと15回にもわたる協議を繰り返しました