日本とモンゴルを結んで新生児医療に関するカンファレンスが行われました

2019年9月15日

9月14日、日本とモンゴルをウェブ会議システムでつないで、短期専門家としてモンゴルを訪問中の新生児科医である嶋岡医師(国際医療福祉大学塩谷病院)が講師となり、新生児の脳循環に関するカンファレンスを行いました。

プロジェクトでは、モンゴル国内の各県を結ぶネット回線を介したテレカンファレンスを実施してきています(プロジェクトニュース2016年12月1日)。これは広大な国土を持つモンゴルにおいて、効果的に情報を共有する方法と言えます。ただ、これまで行ってきたカンファレンスは、県病院や保健局に設置されたTV会議システムを使う方法でしたので、システムが設置されている場所に、講師も受講生も出向く必要がありました。

今回はインターネット回線を利用し、個人が所有するコンピューターを介して講義を提供しました。日本モンゴル教育病院の講義室をお借りし、ウランバートルや近隣の県から集まった新生児医療に関わる医療者に対し、対面でカンファレンスを行い、同時にウェブ会議システムを介してつながった、日本在住のモンゴル人医療関係者6名には、リアルタイムで講義を聴講していただきました。

講義では、まず新生児に見られる様々な脳障害の発生機序について、解剖や生理学の知識を整理しながら解説がなされました。続けてそれぞれの評価法や治療法について、わかりやすく説明されました。特に出生直後に呼吸ができない新生児に対する介入の重要性、適切に介入することで、その新生児の一生が救われることが説明され、新生児蘇生法の重要性が改めて認識されました。

講義終了後は、参加者を交えて活発な議論がありました。日本の参加者からも質問があり、講義の内容がしっかりと伝わったことが確認できました。

新生児死亡率の改善は、持続可能な開発目標(SDGs)にも挙げられていますが、モンゴルにおいても解決すべき重要な課題の一つになっています。プロジェクトでも、小児医療は重点科目の一つとなっており、モンゴルの医療者への教育活動を通じて課題の解決に取り組みたいと考えています。また今後は、既存のインターネット回線を通じ、講義形式のカンファレンスだけでなく実技指導などを含む研修の実施などにも取り組むことも、考えてみたいと思っています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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嶋岡医師による講義の様子

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日本在住の参加者たち(モンゴル人医療関係者)とともに集合写真