乳幼児発達評価に関する研修が行われました

2019年9月26日

本プロジェクトでは、地域で働く医師の研修を整備する活動を行なっています。なかでも、救急、感染症、そして小児科は重点科目と考えられており、これまで多くの研修パッケージの開発に取り組んできました。今回は、地域で働く医師たちの要望が強かった、乳幼児の発達を評価する方法を学ぶ研修パッケージ開発に取り組みました。これは2年前に行われた研修に連携したものです(プロジェクトニュース2017年11月1日参照)。

2年前に研修を実施した際、日本で作成された映像教材を用いました。これは乳幼児の発達の過程を追いかけて継続して記録したもので、世界に類を見ない非常に貴重な教材です。また発達の異常を認める乳幼児の診察方法なども学べる内容になっています。プロジェクトでは、モンゴル側の要望もあり、この教材のモンゴル語訳に取り組みました。文字のテロップや解説のナレーションを全てモンゴル語に入れ替え、モンゴルの地域で診療する方達が、独学で学ぶことができる教材にすることができました。

この研修を実施するにあたり、日本から短期専門家として七野医師(国立国際医療研究センター)と米山医師(心身障害児総合医療療育センター)に来訪いただきました。七野医師は4年近く前からモンゴルの小児医療に貢献してくださっている小児科医であり、米山先生はモンゴル語訳された映像教材の原本を開発された先生です。今回は、翻訳された教材を活用して研修が行われました。

9月24日、26日と2回の研修を実施しました。24日の研修は国立母子保健センターで行いましたが、ウランバートル市内だけでなく、地方の県からも30名近い参加者がありました。またオルホン県では26日に研修を行いましたが、周辺の村からも含めて21名の参加者がありました。まず乳幼児の正常発達の過程を学び、その評価方法の要点を解説していただき、その後で映像教材を視聴しました。また、主に運動発達の異常に焦点をあて、その原因、症状、また評価する際の注意点などの解説があり、続けて映像教材で具体的にわかりやすく評価法を学びました。

受講生からの評価は上々で、すぐに地域で活用できる内容であることに、「有益な研修であった」とのコメントが多く寄せられました。

プロジェクトでは、地域でより効果的に活用してもらい、乳幼児の発達の評価を適切に実施できるようになるため、乳幼児健診マニュアルの開発を検討しています。このマニュアル開発のために日本から小児科医を招き、モンゴルの小児科医たちと協議を開始しているところです。地域の子どもたちが適切に発達の評価を受け、問題がある子どもが早期に介入を受けることで、より良い社会生活を送ることができるようになるために、プロジェクトでも継続して医師への教育という形で支援をしたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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正常発達の過程をわかりやすく解説していただきました(七野医師)

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時に人形を用いながら、乳幼児の評価方法や簡単なリハビリの方法を解説していただきました(米山医師)

【画像】参加者一同による集合写真(国立母子保健センター)

【画像】参加者一同による集合写真(オルホン県地域診断治療センター)