日本企業が取り組む植林活動をサポートしています

2016年6月3日

プロジェクトの活動対象となっているベトナム北西部では6月から10月頃まで雨の多い時季となります。雨水に頼る山岳地での植林では、その時季に苗木の植え付けをおこなう必要があります。プロジェクトが支援する日本の民間企業の植林においても、この時季に植栽が実施されました。

JICAとして、これまでにもベトナムの自然環境分野への貢献を目指し、様々な活動を行ってきましたが、民間企業などと連携した活動をおこなうことも重要テーマとなってきました。本プロジェクトにおいても、日本の民間企業との連携を進めており、その一つとして、住友林業株式会社とアスクル株式会社がディエンビエン省にておこなっている森林保全活動(植林含む)への側面支援をしています。

二社は、2013年から同省にてJICAプロジェクトと連携した活動をおこなっており、山岳地の少数民族を対象に、森林管理と生計向上の活動を支援してきました。今年はその一環としてディエンビエン郡のムンファン・コミューンにて約4.5haの植林(松)をおこないました。

植林地は元々、少数民族による焼畑がおこなわれていた土地で、その後しばらく放置されていた土地です。この土地はそのままでは何の栽培もおこなわれず、また、森林への回復にも長期間を要することになります。今回、そうした土地に植林をすることにより、森林の水源涵養能力を取り戻すことが今回の植林の目的の一つとなっています。

今回の植林地周辺では、地元住民による放牧がいたるところでおこなわれていました。何も対策をしなければ、せっかく植えた苗木が家畜に食べられてしまう恐れがあるため、植林地の周囲は家畜の侵入を防ぐための防護柵も設置しました。

こうした植林では植えるための準備も大事ですが、植えた木を立派な森林に育てるための管理も非常に重要です。植えた後の下草刈りや、設置した柵の定期的な点検などがしっかりと行われていくよう、プロジェクトとしても見守っていきたいと思います。

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植林活動の様子。当日は省農業農村開発局(DARD)の指示の下、地元の森林保安官及び地域住民が集まって植林がおこなわれました。

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住民は植林の経験がない人も多く、政府職員の指導を受けながら活動に臨んでいました。

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今回の植林に使われた松の苗。種から1年半程育ったもので、高さは40〜50cmでした。

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植林地周囲に設置された家畜除けの柵。簡易な柵でも家畜から苗木を守るのに効果があるようです。設置後は柵が壊れてないかなど定期的に点検することが大切です。

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今回参加された住友林業の方々(前列中央の3名)。継続的な日本の支援が、地元の方々からも評価されています。

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植林地から一帯の田畑、山々を望む。今回植えた苗木も、将来は森林になり、地域の豊かな水の供給の一助となることが期待されています。