2001年に国際社会による経済制裁が解除されたばかりのユーゴスラビア連邦(セルビアとモンテネグロにより構成)の電力需給バランスは慢性的な電力供給不足となっており、特に電力需要が急増する冬季においては電力不足が顕著なため、一部の地域では計画停電を余儀なくされており、その結果市民生活の安定化において大きな支障となっている。セルビア政府はこの対策として既存発電設備の適切な維持管理の実施による設備利用率の向上をめざし、日本輸出入銀行の融資により建設された世界でも有数な揚水発電所(定格出力614MW(307MWx2)、有効落差600.3m)であり、「ユ」国の最大需要電力の約10%を担うバイナ・バシュタ揚水発電所は1982年に営業運転を開始して以来20年経った時点まで一度もメジャーオーバーホール(ランナー、発電機等)が実施されていなかったことから、本発電所の改修計画を策定し、同計画の実施につき、わが国に対し無償資金協力を要請した。