【草の根技術協力事業】ラオスの自然を巡る!エコツアー演習の様子をご紹介します。

2023.07.11

クアンシーの滝でのエコツアー演習に出発!

静岡県富士宮市に拠点を置く一般社団法人エコロジックは、JICA草の根技術協力事業(パートナー型)を受託し、2022年2月から2025年1月までラオスにて「ルアンパバーンの公認ガイドの技術向上を目指したインタープリテーション(※)トレーナーの養成事業」を実施しています。

事業開始から、1年と少しが経過した本事業。今後取り組んでいく「公認ガイド育成」に向けて、ルアンパバーンでは有名な観光スポットの1つである「クアンシーの滝」でエコツアー演習が行われました。クアンシーの滝は、エメラルドグリーンの美しい水が有名で、多くの人々を魅了しています。一方で、その周りにある木々などの自然も大変豊かでラオスの人々の生活と密接な関係があります。今回は、滝の周りにある豊かな自然に注目し、1999年からルアンパバーンでガイドを務めるヴィエンさんのガイドのもと、エコツアー演習が始まりました。

※インタープリテーションとは、心に残るメッセージを相手に伝えるための、コミュニケーション手法です。自然、文化、歴史を単なる情報として伝えるのではなく、その背後にある大切なメッセージを、解説や展示、教材、書籍などを通して伝え、楽しみや感動、気づきを人々に提供するガイドの技術です。

「インタープリテーション手法」を用いたツアーガイドとは?

いよいよヴィエンさんによるエコツアー演習がスタート!今回のエコツアー演習には、本事業でトレーニングを受けてきたトレーナーたちが参加者として参加しました。ヴィエンさん案内のもと、クアンシーの滝の周りを歩き始めると、本事業のプロジェクトマネージャーを務める新谷雅徳氏が背の高い特徴的な根の形をしたサポンの木の前で立ち止まり質問を始めました。
新谷氏:「この木について説明をしてください。」
参加者:「この木は光合成により酸素を出していて環境保護に役に立っています」「この木の下は良い日陰になるので、少し休憩するのにちょうど良い」「ソフトウッドである」
新谷氏:「木が光合成をして酸素を出すのは知っているけれど、ツアー参加者が知りたいのは、この木がラオスの人々の生活にどう結びついているか、というユニークな話ではないのかな?」
新谷氏からの質問を受けた参加者は、続けて次のように話し始めました。
参加者:「少数民族の中では、大きく高い木には『良い精霊』が宿っていると考えられています。そのため、この木も人々からとても大切にされています。」

木の説明を始めた参加者に対する新谷氏の質問を通して、インタープリテーション手法を用いたガイドで重要となる「心に残るメッセージ」が引き出されていきました。

この後も、近くにあったエボニーウッドの前に立ち止まり、「この木の種は黒色の染料になるんだ」「この木は黒と白の色合いがとても綺麗で彫刻などに使われるんだ。小さなものでも、20ドルもするんだよ」などの話や、森の中にある植物の葉を見せながら「この葉はスープになったり、腹痛の薬になったりするんだよ」という説明がありました。また、ある木の枝を手に「この枝を切れば水が出て来るので、森で迷ったときはこの枝を切れば水分を確保できる。大事なサバイバル術だよ。」「木の植生から魚のいるところを見つけることもできるんだよ。」という面白い話も聞くことができました。

どの話も、ラオスの人々が伝統的にどのように自然と関りながら生きてきたのかを知ることができるものばかりでした。また、これまでは美しい滝や水遊びの場所として知られていたクアンシーの滝ですが、今回のエコツアー演習を通して、滝の周りにある自然を通してラオスの人々に受け継がれている伝統や生活を知ることができる場所であることが分かりました。

この木とラオスの人々の生活にはどんな繋がりがあるのだろう?

森の中にある植物の葉を手に説明を始めるガイド

ガイドを務めたヴィエンさんの感想

このエコツアー演習でガイド役を務めたヴィエンさんは、次のように話してくれました。
「エコロジックのこのプロジェクトに参加するまでは、ツアー参加者に対して、知っていることを一方的に話すことが多かったです。今は、ツアー参加者と村の人々、参加者と自然の間に入ることを意識しています。参加者とのやり取りを大切にしてガイドをすることによって、参加者の満足度や笑顔が増えたように感じています。今日のクアンシーの滝のツアーガイドでも、参加者と自然の間に入ることを意識して行うことができました。」

エコツアー演習を終えて

2023年度の本事業の活動も、ぜひご注目ください!

この日のエコツアー演習の参加者には、新谷氏から「10本の木を選んで、人々の生活と結びついたユニークな話を考えるように」という宿題が出されました。多くの知識や経験を持ちつつも、なかなか上手にそれらを活かし切れていなかった参加者たち。今回のエコツアー演習で得た気付きを通して、今後どんな素晴らしい話が聞けるのか、とても楽しみです。
今後も、本事業において公認ガイド育成に取り組む様子をお伝えしていきます。ぜひご注目ください!

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