第3回JICA研修員の大学訪問 山陽女子短期大学

2023.11.20

着物を着て茶道体験

ドキドキの「初めまして」

今年度よりスタートした新事業「大学訪問」の3回目を11月20日(月)に実施しました。今回訪問したのは廿日市市の「山陽女子短期大学」です。参加したJICA研修員のバトゥールさん(シリア)とサミンさん(アフガニスタン)は、自分が通う大学以外の大学を訪れるのは初めてのことだそうで、移動中も「わくわくします。」と心待ちにしていました。
到着した2人を出迎えてくれたのは楾(はんどう)ゼミの学生です。今回交流した5名の学生は臨床検査技師(clinical laboratory technician)を志していて、交流冒頭の自己紹介では、「臨床検査技師を目指したきっかけ」など自身のことについて写真を用いながら説明してくれました。

3か国の医療事情

日本の文化紹介や大学紹介の後に日本の医療事情について学生が発表してくれました。長寿国日本における医療制度に研修員2人も興味津々の様子です。中でも学生が問題提起した、看護師の労働環境の厳しさについては、自身も薬剤師として勤務経験のあるバトゥールさんが「共感できる部分がある。」と話していました。「責任ある仕事であるからこそできる限りのサービスを提供したい。」とバトゥールさん。
また、日本でのがん検診についての説明の際に表示されたグラフを見て、サミンさんが「なぜ日本のがん死亡率が突出して高いのですか?」と尋ねると、学生から「がん検診の受診率の低さが原因です。」との答えが返ってきました。「質の高い医療制度を提供する日本で、受診率が低いことが問題になっていることは想定外。」と、サミンさん。
さて、日本の学生たちの発表の後は、研修員たちの番です。自国の食文化や観光地について写真を使いながら紹介しました。サミンさんもバトゥールさんもお国の民族衣装を身に着けていたので、実物を見せながら伝統衣装について説明しました。また、アフガニスタンの医療問題として「特に女性の医療従事者の人手不足」や「インフラ、安全保障、経済が十分でないこと」等を挙げました。厳しい問題に直面している事実は日本の学生もショックだったようです。最後にサミンさんが「アフガニスタンは日本人医師の中村哲氏に救って頂いた過去があり、国民が感謝しています。」と伝える場面があり、学生から「日本とアフガニスタンとの深い関わりを知ることができて良かった。」と感想が寄せられました。
また、シリアでは医療費が無料であること、医学部も無料で通えることに、日本の学生たちが驚いていました。無料の公立病院であるが故に待ち時間が長く、診察を受けたくてもなかなか受けられない現状とのこと。実際に薬剤師として勤務経験のあるバトゥールさんは、「シリアでは処方箋がなくても薬局で薬がもらえます。患者は受診せずに直接薬局へ薬をもらいに行くことが多いため、医師並みの知識も必要です。」と薬剤師の視点でもお話しくださいました。それぞれの視点から見る医療制度に対して、新たな発見があった発表となりました。

日本文化体験

交流のあと、部屋を移動し、日本文化を体験しました。二人とも初めて着物を着るということで、嬉しそうな様子が伝わってきました。着物に着替えて準備万端!お次は茶道体験です。学生が点てる様子を見つめて、少し緊張感が漂いましたが、「お菓子をどうぞ。」と声をかけてもらうとバトゥールさんは満面の笑み。「私、もみじ饅頭大好きなんです!」と広島の銘菓をいただきました。抹茶をいただいた後は、お茶を点てる体験もさせて頂きました。「手首のスナップが難しいです。」とサミンさんは苦戦していましたが、無事点て終え、学生に飲んでもらえて満足そうな表情でした。
学生のみなさんが主体となって意見交換や文化体験を実施していただき、充実した訪問となりました。たくさんの準備と心温まるおもてなしをありがとうございました。

学生のおもてなしに感謝を述べるサミンさん(アフガニスタン)

お国の医療について話すバトゥールさん(シリア)

茶道体験も楽しみました。

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