ブータンの教育魅力化に取り組む教育関係者、高校生が海士町に来訪しました。

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.01.21

 島根県の隠岐諸島に位置する海士町は、独自の地方創生策が成果を上げていることで注目されています。その一つが、「教育魅力化」です。海士町にある隠岐島前高校は、高校生が学校を飛び出し、島の中の課題を見出し、島の人々から学び、解決に向けて人々と共に取り組む地域課題解決型学習を進めています。これにより、島外からの入学者が増え、生徒の学びが深まるとともに、島の活気にも繋がっています。
 世界に目を向けると、多くの国で地方部の人口減少や高齢化が課題になっています。南アジアに位置するブータンも例外ではありません。海士町は日本の中の離島でスローガンとして「ないものはない」、ブータンはヒマラヤの山間部にある小さな国で「国民総幸福量」という概念を国家指標として掲げています。海士町とブータンは2016年から交流が始まり、2022年1月から、海士町の教育魅力化をブータンで展開するJICA草の根技術協力事業が始まりました。
 今回は、ブータン教育省関係者、また、草の根技術協力事業の実施場所であるチュカ県の3つの高校から校長、教員、高校生が来島し、海士町内の地域課題解決型学習の現場を視察、隠岐島前高校とブータンの高校生同士による学習成果発表、教員間の学習指導方法の意見交換を行いました。また、島根県無形文化財の隠岐島前神楽、および、ブータン民謡・舞踊の相互鑑賞を通した交流会を島民と共に行いました。
 東京では、文部科学省を往訪し、日本の教育改革においても地域課題解決型学習の促進が重要視されていることを学びました。
 この学び合いを通して、ブータンの高校生からは「海洋ごみからアクセサリーを作り、それが環境学習や啓発につながるという柔軟な発想は勉強になった。」「チュカはジャガイモの産地なので、干芋の端材の有効利用を参考にブータンでも取り組んでみたい。」「ブータンで実践できるアイディアはたくさんあった。」などの気づきが述べられました。
 また、隠岐島前高校の生徒は、「生まれた場所が違ってもお互いに分かり合えるところがあって面白いと思った。」「ブータンの高校生から、『海士にまた来たいし、ブータンにも是非来てほしい』、と言われ、同じ気持ちになれたのがうれしかった」との気づきの共有がありました。
 今回招聘したブータン教育省幹部の皆さんからも、「海士町との連携を深め、地域課題解決学習をブータン国内で展開していきたい」とのコメントがありました。
 今回のブータン高校生の招へいは、草の根技術協力事業での関係者の招へいに加え、海士町が内閣官房による万博国際交流プログラムを活用して実現しました。2025年の大阪万博を通して、日本各地でより多くの国との間で交流が育まれていくことを願っています。
 末筆になりますが、現在の海士町の礎を作られた山内道雄前町長が本年1月3日に急逝されました。故人のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。山内道雄様、御遺志はこの様に海士の島民、そして、ブータンの人々に引き継がれています。どうぞ温かく見守ってください。

島前高校生の地域探求の発表を聞くブータン人高校生

島民を招いて実施した島前神楽とブータン舞踊のイベントその1 写真提供:柿添亜実

島民を招いて実施した島前神楽とブータン舞踊のイベントその2 写真提供:柿添亜実

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