【福井県】地域社会を支える外国人介護人材の“キャリア”について考える!

2024.03.19

ふくい外国人介護職員支援センターとの共催で「外国人介護人材キャリアアップセミナー」を開催しました。セミナーは、福井県内で活躍する介護分野技能実習生向けの対面型ワークショップと受け入れ事業所向けのオンラインセミナーの2本立てで行いました。
地方の介護現場には欠かせない外国人介護人材。そんな皆さんの“キャリア”について一緒に考えてみました。

外国人材のキャリアを考えることとは?

現在、日本国内の介護現場で働く外国人数は約4万人と言われており、日々、日本の介護現場を支えています。介護の技能を学びたい、日本語を学びたい、学んだ技術を母国で活かしたいなど、来日の目的は様々ですが、介護現場で働く外国人材の方々のキャリアを応援し、支える取り組みは残念ながらそう多くありません。
JICA北陸が2021年に実施した「北陸地域の外国人材の受入れに係る現状・課題調査」において、技能実習生/特定技能の外国人材が、来日中に目的意識を持ちながら実習・仕事に取り組むことが、日本滞在における充実感やモチベーションの向上、受入れ企業側での活躍に繋がる可能性があることがわかりました。
このような現状を受けて、今回福井県の介護分野で働く技能実習生の方々を対象に将来のビジョンを考えてもらうワークショップを、受入れ先の介護事業者を対象に「技能実習生のキャリア」について考えるオンラインセミナーを実施しました。

5年後どこで、何をしていますか?~実習生向けのワークショップから~

セミナーの様子

自身のキャリアについて考える実習生

2024年2月27日、福井県社会福祉センターに公益社団法人国際厚生事業団(以下、JICWELSと称する)の武井氏と佐藤氏を講師としてお招きし、ふくい外国人介護職員支援センターが監理団体となり受入れているタイ国籍の技能実習生 14 名を対象に、自身の将来のビジョン(キャリア)について考えるワークショップを実施しました。
まずはアイスブレイクとして、介護現場で使えるジェスチャーゲームを行い、会場の雰囲気が和んだところで、最初のワークへ。日本へ初めて来た時の気持ちや、日本での仕事や生活がスタートした時の気持ち、来日した理由を振り返りました。
実習生からは「日本に来た時は日本語がわからなかったので、人に聞くということが不安だったが、今は日本語がわかるので自信を持って尋ねることができる」といった気持ちの変化や、南国のタイから極寒の北陸に来て「寒くて驚いた!」といったエピソードが紹介されました。

今後の夢や目指したいことについてワークシートにまとめている様子

将来のビジョンについて発表する実習生

次に、今後のキャリアプランを考えてもらうために、日本に残る場合や帰国する場合のキャリアの事例などを紹介しました。その後、技能実習生として働ける期間はあと何日残っているのか、在留資格の変更や資格取得のためにいつから何をすべきかを一緒に確認しました。その上で、「何年後どこで何をしているのか?」「今後の夢や目指したいこと」といった、自身のキャリアプランについて個人で考えたあと、グループワークを通して考えてもらいました。「日本で介護福祉士を目指したい」「日本語の翻訳家になりたい」「習得した日本語を活かして、母国でキャリアを積んでいきたい」といった発表があり、セミナー後には、「技能実習生として働ける期間があまりないことに気づいた」「今日のセミナーをきっかけに将来のキャリアパスについて考えたいと思う」といった声が寄せられました。

外国人介護人材のキャリア支援と定着に向けた課題

実習生向けセミナーの翌週3月6日には、「外国人職員と働くということ」をテーマに、受入れ事業所向けのオンラインセミナーを行いました。JICWELSの武井氏を講師に迎え、外国人介護人材受入の制度上のキャリアアップの仕組みや受入れ事業所側の取り組み事例を紹介し、実習生に対する日頃の支援を振り返ってもらいました。講師からは、「本人の今後のキャリアを尊重した上で、中長期的な計画を示してあげるためにも早くから面談を行うことが大事」といったすぐに取り組むことができるアドバイスもありました。
後半では、グループに分かれ、外国人介護人材の方々の日本定着に向けた課題や受入れ事業所におけるキャリア支援への課題・工夫等について参加者同士で意見交換を行いました。
「実習生の資格取得に際し、どのような支援を行っているのか?」「各事業所の実習生へのサポート体制はどのようなものか?」といった質問があり、それぞれの事業所ごとの取り組みを共有する貴重な時間となりました。
セミナーに参加した方々からは「施設で受け入れをしている実習生のキャリア形成の実現に向けた目標設定を行っていかなければいけないと改めて考えさせられた」「技能実習期間中のことしか考えていなかったので、実習生の実習終了後のキャリアについて意識することができた」といったコメントがありました。

「外国人職員と働くこと」というテーマで熱心に話す講師の武井さん。

外国人材のキャリアを支え、応援する社会に

今回のセミナーを通じて、実習生自身のキャリアプランに対する意識の醸成と受入れ事業所の方々が実習生のキャリアを考え、更なるサポートに繋げて頂くきっかけになったと思います。さらに、受入れ事業者の方々にとって、実習生のキャリアを考え、細かな対応をしていくことで、結果的に定着や新たな人材の確保に繋がるという中長期的な視点を持って頂く機会になっていれば幸いです。
福井県に限らず、日本国内において外国人介護人材は欠かせない存在となっています。
単なる労働力としてではなく、地域経済を支える担い手であることを認識した上で、外国人材の“キャリア”を支え、応援していく社会。そのような社会の実現に向けて、今後も地域の皆様との連携を促進していきたいと思います。

今回のセミナーにご参加頂いた実習生の皆様。笑顔が素敵ですね!

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