今月のオススメ図書

今月は、新着図書から2冊をご紹介します。

『日本に住んでる世界のひと』

金井真紀 文・絵

 近年増加の一途をたどる在留外国人。2023年12月末の時点で340万人を超え、過去最多となりました。本書は文筆家・イラストレーターである著者が、世界各国から来た日本在住の人々に話を聞き、ほのぼのとした文章とイラストで18組20人のストーリーを紹介した一冊。離れて暮らす家族を支えるため懸命に働いてきたフィリピンのひと、地球温暖化による海面上昇で故郷ががらりと変わってしまったモルディブのひと、イタリアやスペインから宣教師として来日した神父、そして祖国を追われ難民認定申請をし続けるも「難民」になれないまま滞在している、コンゴ民主共和国のひと。著者は言います。「世界はいろんな色をしている。知らないことがたくさんある。そうして、ぜんぶつながっている」。同じ空の下で暮らしている「わたしたちの隣人」の話から、世界と日本の課題が見えてきます。

『マディバ・マジック ネルソン・マンデラが選んだ子どもたちのためのアフリカ民話』

ネルソン・マンデラ 編  和爾桃子 訳

 動物たちにプレゼントを配るのは、王様ライオン。ウサギとハイエナの知恵比べに、お月さまを捕まえようとするカマキリ。「ツイてない」悪魔が登場したり人々や動物が変身したりするなど、生き生きとした語り口の楽しいお話に出会える本書は、南アフリカ共和国で2002年に出版された民話集“MADIBA MAGIC”の日本語版です。「MADIBA(マディバ)」とは、ノーベル平和賞受賞者で黒人初の南アフリカ共和国大統領となった故ネルソン・マンデラ氏の愛称。本書には、アフリカ大陸の各地で何百年も大切に語り継がれてきた物語から新しいものまで、世界の子どもたちのためにマンデラさんが選んだ「宝物」のような32話がアフリカンアートの挿絵とともに収められています。自分の世界を広げる力を養い、人生をきっと豊かにしてくれる「魔法」が詰まった一冊です。