【JICA海外協力隊】2023年秋募集スタート/経験者に聞く協力隊への道のり

2023.11.07

11月1日からJICA海外協力隊2023年秋募集が始まりました。そこで今回は協力隊経験者の東北各県JICAデスクにインタビュー。

隊員経験を持つ東北各県JICAデスク

(左から)室井研一 郡山デスク、市川雅美 岩手デスク、松山里美 福島デスク、村岡智子 山形デスク、舛屋(ますや)彩子 秋田デスク 、阿部翔太 青森デスク

 協力隊に参加したきっかけは皆さまざま。
 「子どもの頃からライオンが暮らすアフリカで働くのが夢で、いつか協力隊に参加しようと決めていました(市川デスク)」
 「テレビで見た途上国の社会問題に衝撃を受け、国際協力に興味を持つように。さらに友人が協力隊員になり、自分にも何かできるのではと考えるようになりました(舛屋デスク)」
 「海外に行くことは幼少期からの憧れ。資金的に実現可能な唯一の手段が協力隊でした(阿部デスク)」
など、それぞれの思いを胸に隊員を志した6名ですが、中には周囲の反対やスキル面の不安に悩んだ方も。壁を乗り越えた方法や、その先の活動で得たものなど、唯一無二の体験談を聞きました。 

周囲の反対を乗り越えるために

 「家族の反対を見越して、合格後にすべてを伝えた」という村岡デスク。「周囲が不安に思う点をクリアにし、きちんと対応することが大切。それは隊員としての責任でもある」と話します。
「家族への事前の相談は必須のプロセスとは限らず、家庭ごとに伝えるタイミングや協議事項の落としどころがあると思います。私の両親は、衛生面など生活環境を心配していたほか『協力隊参加は自己負担』との誤解もあったので、予防接種や渡航後の連絡手段、活動時の手当について説明し、安心してもらえるよう努めました。参加の意志を強く持って、丁寧に対応すれば、周囲の不安は期待に変わるのではないでしょうか」

 村岡デスクは職場で反対にあった際にも「仕事も会社も大好きで、ここでの学びがあったからこそもっと挑戦したい」と話し合いを続けたそう。その結果、会社独自の再雇用制度を利用できることになったそうです。

 同じく職場の上司に猛反対された阿部デスクには、帰国後、意外な出来事も。
 「『若くて社会も知らないのに、今辞めたらお前がダメになる』と引き止められましたが、『自分の人生だから自分で決めます』と意志を貫きました。驚いたのは、帰国から数年後、前職の社長から『いつも活躍を拝見しています』とメッセージをいただいたこと。SNSなどで活動を見てくださっていたようで、認めてもらえたんだとうれしかったですね」

隊員の現地活動の様子。環境教育隊員としてウガンダに赴任した市川デスクは、ビクトリア湖の水質汚染について子どもたちに授業を行いました。

高いスキルや語学力がなくても諦めない!

 自分なりの経験を自己PRに生かして希望の要請に合格しました。
 「私、地元・秋田の『ナマハゲ伝道士』の資格を持っているんです。面接官の目に留まればという一心で、それを応募書類に書きました。さらに、留学中のフィジーで2週間電気のない生活をした経験で“途上国に強い”とアピール。スキルアップのため、観光英語検定の受験や、国内外の観光地のPR事例収集、書籍や研修での学習にも励みました。同じ職種で活動する隊員のブログも参考になりました」

 「語学力に大きな不安があった」という村岡デスクと阿部デスクは、派遣前後の勉強方法を教えてくれました。
 「応募時のTOEIC試験は、3カ月前から対策テキストで集中的に勉強。派遣国の言語は、やさしいレベルの書籍を読むなどして訓練所に入る前から毎日少しでも触れるようにしました(村岡デスク)」
 「派遣先では先生を見つけてレッスンを受けていました。現地で必要に迫られることが一番上達につながったと思います。たとえ勉強が苦手な方でも、体で覚えるのが好きなら大丈夫です!(阿部デスク)」

予測不能な隊員生活を楽しむ心得

 一方、現地で予想外の壁にぶつかったのは松山デスク。赴任したスリランカで治安が悪化し、活動を中断。振替派遣でタンザニアに渡るも、今後はコロナ禍で帰国。昨年再びスリランカに渡り、残る任期を全うしました。
 「予想外のことが起こるのが協力隊なので、『しょうがない』の精神ですね。必ずしも1カ国で活動できるわけでありません。その分、スリランカに戻った時には、再会した現地の方々が大歓迎してくれました。もう一つ、活動を通して感じたのは、マイノリティーという立場は強みになるということ。どちらの国でも、日本文化を紹介して『つまらない』と言われたことは一度もありません。外国人というだけで注目されるので、それをうまく活用して交流することで、皆さん日本を好きになってくれました」

経験が生んだ新しい価値観、新しい出会い

 多彩なエピソードが飛び出すなか、6名とも共通するのは活動から得た充実感です。市川デスクは、幼少期からの夢を叶えた2年間を「とにかく楽しかった」と振り返ります。
 「私がやろうとすることを、一緒にやろうとしてくれる現地の方の姿勢がうれしくて。皆さんおおらかなんです。それだけに、私がスケジュール通りに進めようとすると『雅美、そんなにセカセカするなよ』と言って、結局やってくれないこともあったのですが……。でもそれは『もっとゆっくり生きていいんだ』という学びになりました。言語の問題など苦労はあっても、本当に楽しかったですね」

 「また協力隊に戻りたい」と話す方もいるなか、実際に2度の隊員経験を持つのは室井デスク。2回目の応募のきっかけは、東日本大震災の被災地でボランティアをしていたチュニジア人との出会いでした。
 「協力隊で同じイスラム教国のモロッコにいたことを話すと、すぐに打ち解けました。その方をボランティアとして手伝いながら、お互いの国の文化や宗教、教育について語り合ううちに『またイスラム教の国に行って、イスラムの人たちが日本で頑張っていると伝えてほしい』と言われたんです。それを機に応募したヨルダンでの活動は、スタート地点が違いました。2年後の見通しが立ちますし、どうしたら現地の方が心を開いてくれるかも分かります。1度目の経験は必ず役に立つので、機会があればぜひ2度目、3度目の活動にも挑戦してほしいですね」

ヨルダンで障がい者施設の方と一緒に死海マラソンに参加した室井デスク

秋募集の応募は2023年12月11日(月)まで。説明会も開催中です。

 今回ご紹介したように、参加のきっかけや生かせるスキルは十人十色。秋募集でも個性豊かなご応募をお待ちしています。募集に合わせ、各地で説明会も開催中。隊員経験者の体験談を聞くことができるほか、疑問や不安についても相談できます。各県デスクも、応募時はほとんどの方が説明会に参加したそうで「活動のイメージが湧いた」「話しやすい雰囲気で緊張が和らいだ」との声が聞かれました。ぜひお近くの会場やオンラインで気軽に参加してみてください。

関連リンク

JICA東北個別相談サロン:
https://www.jica.go.jp/domestic/tohoku/information/event/1515951_23962.html

JICA各県デスク紹介:
https://www.jica.go.jp/domestic/tohoku/pref/index.html

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