【ボランティア事業】「共創と環流」めぐり逢いから学ぶ~JICA海外協力隊グローカルプログラム(GP)最終報告会~

2024.01.16

 JICA は、当プログラムを全国20ヵ所で展開し、東北地域では岩手県釜石市、陸前高田市、遠野市の3市に加え、今期から秋田県の五城目町も加わりました。2024年度に海外へ派遣予定の7名が(釜石市1名、陸前高田市2名、遠野市2名、五城目町2名)プログラム終了にあたり、実習の締めくくりとお世話になった皆さんへの感謝も込めて、最終報告会を行いました。

【五城目町】「まちは人でできている」地域を想う心に気づく。

 秋田県五城目町で実習したのは東谷拓馬さん(ルワンダ、コミュニティ開発)と平石守さん(ボツワナ、コミュニティ開発)です。最終報告会には会場を埋め尽くすほど地域の方が集まり、2人の実習生は五城目の魅力と共にすべての町民の皆さんに感謝を伝えました。
 発表では、「常に周りに人がいて支えられた。「お茶っこ飲んでけ」と声をかけてもらい、温かく心地よかった。五城目に恩返していきたい。(東谷さん)」、「認めてもらいやすい表面的なことをするより、一人ひとりが生き生きと暮らせるためのサポートをしていく大切さを教えてもらった。(平石さん)」とかけがえのない経験に感謝を込めながら75日間を振り返りました。また終盤には、町民の方々から実習生へサプライズのビデオレターが届きました。「五城目に帰ってくるのを楽しみに待っている。」とメッセージが贈られ、会場は温かく2人を送り出しました。
 会の最後は、「実習生が来てくれたおかげで、改めて海外に目を向けることができた。まちは人でできている、まちには素敵な人がいっぱいいると地域を想う心を気づかせてくれた」と五城目町教育長による感謝の言葉で締めくくられました。
 多くの五城目町の皆さんにとって、今回のグローカルプログラムは「JICA」に触れる初の機会となりました。教育と交流に溢れた五城目町から、未来の国際協力を担う人材の旅立ちが今後も楽しみです。

インタビューを受ける平石さん(左)東谷さん(右)

インタビューを受ける平石さん(左)東谷さん(右)

【釜石市】今までの自分と「こらからの自分」。

 岩手県釜石市で実習したのは塩野亜斗夢さん(グアテマラ、マーケティング)。稲刈り、精米、タイヤ交換、DIY等幅広い作業を通じ、与えられた環境に適応し工夫することを学んだといいます。最初は失敗が続いたそうですが、実習先の方から「その都度、失敗を嘆いていたら身心もたないよ」とアドバイスを得て、失敗やトラブル、考え方の違いを楽しむことにしたと話します。また、グアテマラの紹介やJICA海外協力隊に参加したきっかけを釜石高校の生徒へ話す機会を設け、グアテマラ料理であるトルティーヤを生徒と共に作り交流しました。報告会の最後には、「今までの自分と“これからの自分”良いところは引継ぎつつ自身をアップデートしていきたい」と意気込みを述べました。
 塩野さん自身の風貌も様変わりし、適応能力の高さが垣間見えました。釜石の皆さんから「伸びしろがある!」と太鼓判を押された塩野さんのグアテマラでの活躍が今後も楽しみです!

お世話になった方々の前で、発表する塩野さん

お世話になった方々の前で、発表する塩野さん

【遠野市】「ありのまま」とは、その人が持つ素直さ。

 永遠のふるさと遠野市で実習をしたのは、中野由紀子さん(モザンビーク、コミュニティ開発)と坂本理怜さん(ウガンダ、小学校教育)。2人は遠野での実習を通じ、人との距離の縮め方や経験の活かし方、地域の人の巻き込み方などを学び、刺激的で充実した日々を送ったといいます。
 宮守川上流生産組合で活動した中野さんは、共に過ごした宮守の方々について「誰かのためにやるという気持ちが強い」と述べ、それ故に、「宮守の皆さんは誰かの提案を実現させる力がある」と語りました。地域の底力を感じ、自身の職種であるコミュニティ開発に関わるヒントを得られたようです。
 山・里・暮らしネットワークで活動した坂本さんは、中間報告会の際にJICA東北の森谷地域連携参事から投げかけられた「ありのままとは何か?」という問いに「昔はSNS等の情報網に頼ることなく声を掛け合って互いに助け合っていた。遠野に暮らして感じた“ありのまま”とは、その人が持つ素直さだと思う」と答えました。そして、将来の目標として「教師になって教育旅行を遠野で受け入れてもらうこと」と話すと、会場から温かい拍手がわきました。
 2人共、感極まる場面がありましたが、最後までしっかりと自分の言葉で発表してくれました。2人の実直さ、ひたむきな活動は派遣国でも多くの人の心を動かすはずです。

質疑に応える坂本さん(左)と中野さん(右)

質疑に応える坂本さん(左)と中野さん(右)

【陸前高田市】地域の課題を「勝手に決めつけない」。

 東日本大震災から飛躍的な復興まちづくりを実現している陸前高田市で実習したのは、國友由紀子さん(ケニア、青少年活動)と平沼里穂子さん(ウガンダ、コミュニティ開発)。
 大学院を休学して協力隊に参加した平沼さんは、「地域の課題を勝手に決めつけていた」と75日間を振り返りました。地元米「たかたのゆめ」の魅力化を図るため、生産者のこだわりや想いをヒアリングし、美味しい食べ方を具体的に伝える活動をしました。「色々と食べ比べ、心から美味しいと思った地元素材。PR方など工夫し、広く知ってもらえたら」と会場の皆さんに熱い思いを伝えました。
 冷え込む12月でもハツラツと自転車通勤を続けた國友さんは、中高生の姿を街中で見かけるのが少ないことを疑問に思い、中高生が参加しやすい地域活動の方法を探るためのアンケートを実施しました。調査結果から「広報やマッチング次第で若者がボランティア活動に参入する可能性は高くなる」と報告すると、会場から「こうしたデータを是非知りたかった」と感謝の声も。受入れ先の方からは「毎日丁寧に仕事をしてもらった。アクティブさを今後も前に出して頑張ってほしい」とエールが贈られました。
 各々の視点から陸前高田市を捉え、2人ならではの活動ができたのではないでしょうか。派遣国でも大きな笑顔で現地の方々と共に頑張ってください。

質疑応答の時間も終始笑顔の國友さん(左)と平沼さん(右)

質疑応答の時間も終始笑顔の國友さん(左)と平沼さん(右)

グローカルプログラム@東北の魅力

 東北ならではの郷土芸能、方言、自然豊かな海と山に育まれた食材など「地域に関わりながら働き、暮らす」からこそ発見できる様々な感動が味わえるグローカルプログラム。
 地域の方々による温かい応援のもと、これから途上国を舞台に活動するGP実習生はまさに世界と東北を結ぶ「グローカル人材」。多くのGP実習生が様々な場面で絆づくりに励んでいます。東北で培った地域と共に学び育つ力を派遣国の活動に役立てつつ、協力隊派遣後も地域活性化に貢献することが期待されます。

(報告者:JICA東北 荒屋敷、市川、舛屋)

関連リンク

五城目町:https://www.town.gojome.akita.jp/ 
遠野市:https://www.city.tono.iwate.jp/ 
釜石市:https://www.city.kamaishi.iwate.jp/ 
陸前高田市: https://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/
JICA海外協力隊グローカルプログラム:https://www.jica.go.jp/volunteer/glocal_program/ 

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