【報告】2023年度 教師海外研修<事後研修>

2023.11.07

本年度の教師海外研修は10名(小学校7名、中学校1名、高校2名)の先生方が参加しています。ブラジル連邦共和国での研修を終え、2回の事後研修を実施しました。

第1回事後研修:8月26日(土)
第2回事後研修:9月16日(土)

8月12日にブラジルから帰国した参加者10名は、「多文化共生と移民」をテーマにワークショップ(参加型学習教材)の作成に取り組んでいきます。事前研修とブラジルでの研修で得た情報や気づきをそのまま児童生徒に伝えるのではなく、学習者に気づきを促すことを目的とした参加型の学習を実現することを目指します。

第1回事後研修

第1回事後研修では、早速ワークショップの作成に取組みました。ブラジル滞在中からアイディアをためていた参加者たちは、帰国後もさらに個人でアイディアを具体化させ、事後研修当日には複数の案を持ち寄りました。

参加者それぞれから出された案をまとめてみると、キーワードとして「自己・他者理解」、「価値観・感覚」、「相談・協力」が挙げられ、手法としては写真を用いたフォトランゲージ、すごろくやゲームを用いたワークショップ、といった話が出ていました。これらから最終的に2つの案にまとめ、10名が2つのグループに分かれて、それぞれの案を具体化させる作業を行いました。

教材化する際の留意点として、汎用性(誰でも使いやすい、アレンジしやすい、何回もできる、手軽にできる)などを確認し合いながら試行錯誤を繰り返して行きました。1日の研修で、①日本人移住者の経験を追体験できるような「移民すごろく」と、②幸せをテーマに利己主義や他者理解を考えながら架空の村をつくる「みんなでつくろう幸せの村」の2つのワークショップの原型ができあがり、参加者たちは疲れながらも満足していた様子でした。

参加者たちが持ち寄ったワークショップ案を検討している様子

参加者たちが持ち寄ったワークショップ案を検討している様子

ワークショップ実演に向けた挨拶

ワークショップ実演に向けた挨拶

第2回事後研修

第2回事後研修では、本研修の過年度参加者をはじめとする16名の方々にご協力いただき、作成したワークショップの実演・フィードバック会を実施しました。

研修参加者の自己紹介と挨拶のあと、当日お集まりいただいた方々からも自己紹介をいただき、いよいよワークショップの実演です。最初に、日本人移住者についてすごろくをしながら学べるワーク、続いて、しあわせの村をつくることを目指すワークをじっくりと体験していただきました。すごろくには「想像以上に楽しかった」「もう少し仕掛けがあっても面白い」「フォトランゲージが所々にあるのがよかった」などのフィードバックが、しあわせの村づくりワークには「グループでの話し合いで盛り上がったので子どもたちにもむいている」「葛藤する場面がもっとあってもよい」「ワークショップのねらいが達成できるグループと、そうでないグループが生じてしまうのではないか」などの意見が寄せられました。

緊張しながらも初めてワークショップを披露した参加者たちは、いただいた意見を参考に、夕方までブラッシュアップを続けました。短い期間で作成した2つのワークは、今後さらに使いやすいような教材に生まれ変わることでしょう。

研修で作成したすごろくを実施している様子

研修で作成したすごろくを実施している様子

事後研修を終えて

これまでの研修を通じて学んだこと、気づいたこと、疑問に思ったことをワークショップとしてアウトプットする経験は、参加者たちにとって学びのふりかえりになるとともに、国際理解教育/開発教育の実践者としての大きな一歩となりました。一方的な授業ではない参加型の授業にするための工夫など、ワークショップ作成の過程で多くを習得したようです。

これから各自の学校で授業実践を行い、より多くの方々に使っていただけるように2つのワークをまとめていきます。2月(神奈川県)、3月(山梨県)で行われる予定の最終報告会では、より磨きのかかったワークショップを披露することが期待できます。

教師海外研修とは

教師海外研修は、国際理解教育や開発教育に熱心に取り組んでいる小・中・高の教員の皆さんを対象に、開発途上国における国際協力の現場を実際に体感することを通じて、途上国の現状や日本との関係について考え、その経験をそれぞれの教育現場で、児童・生徒の皆さんに伝え広げていただくことを目的として実施しています。

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