指導員が変われば、訓練も変わる:INPP視学官Madoさんのチャレンジ

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指導員に囲まれるMadoさん(写真右手、鞄を持った女性)

INPPのMado視学官と同僚たちがキンシャサ市内の職業訓練センターを訪問し、指導員の現状調査を行なっている。この日は前の週に配布した質問票の回収をするため、社会福祉省傘下にある職業訓練センターを訪れた。

INPPは労働・雇用・社会保障省の監督下にあり、企業で働く労働者の技術向上を支援するために設立された国立の職業訓練センターだ。全国20ヵ所に訓練センターや連絡所があり、在職者に加え最近では学校を出た若者も多く学んでいる。しかし、コンゴには、他にも初等・中等・職業教育省、青年スポーツ省等が監督するセンターや民間のセンターが多数存在する。こうしたセンターで働く指導員の多くは訓練機材や教科書が不足している中で、能力向上研修等の機会もなく、日々、指導現場に立ち続けている。指導員がより良い訓練を実施できるようINPPができる事は何か、市内約40センターを訪問し情報収集を行なっている。

Madoさんは、JICAが実施している「国立職業訓練校指導員能力強化プロジェクト」のカウンターパートとして指導技法分野の専門家から直接指導を受け、指導員のための指導技法改善研修のプログラム開発にも関わった。この研修プログラムは現在INPPの指導員を対象に開講されており2013年12月までに80人近くが受講する予定だ。Madoさんはコアトレーナーの一人としてこの研修を担当する。

INPPキンシャサ校の職業訓練センターで指導技法科の指導員として経験を積み、現在は、INPPの指導員全体の管理を行うINPP本部の視学官として活躍する彼女は、指導員の能力強化こそが訓練改善の鍵であると自身の経験を通じて実感している。

「コンゴ内にある他の職業訓練センターの指導員達にも、指導技法の研修プログラムを役立てられないか」、これが目下の彼女の目標だ。訪問の先々で「INPPがやっと来てくれた」と歓迎を受け、改めてINPPが職業訓練のリーダーとして他のセンターに対して果たすべき大きな役割を自覚したようだ。

彼女は毎日、目の回るような忙しさだ。チーフとして調査を行う十数人の同僚達をとりまとめる時の彼女は、この細い体のどこから出てくるのかと思うほど大きな声と威厳に満ちた態度で手際よく指示を出していく。視学官に成りたての頃とは見違えるようだ。彼女自身の指導者としての成長こそが、INPPの訓練改善への、小さいがしかし確かな軌跡である。