“国の洋服”を求めて「岩倉使節団から明治憲法へ ~ 貧農から初代総理大臣になった男」パラグアイ、アルゼンチンJICAチェア特別講義を開催

掲載日:2023.07.11

イベント |

瀧井一博教授・国際日本文化研究センター(日文研)を講師として派遣し、JICAチェア特別講義を、現地の大学と共催で対面講義を以下の通り開催しました。

パラグアイ 6月20日(火)国立アスンシオン大学 6月21日(水)国立イタプア大学
アルゼンチン 6月26日(月)国立ラ・プラタ大学

瀧井教授は、京都大学法学部、同大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学後、京都大学助手、兵庫県立大学教授を歴任され、明治立憲体制の成立・展開と国際関係史の観点からの研究等を専門として、大活躍されています。2010年に単著『伊藤博文—知の政治家—』(中央公論新社)でサントリー学芸賞、2022年にも単著『大久保利通:「知」を結ぶ指導者』(新潮社)が第76回毎日出版文化賞を受賞しています。

今般、明治維新後の新たな「国造り」に関与した人々は、どのような生い立ち、経験等を積み、どんな思いで日本の近代化に取り組んだのか、ヒューマンストーリーを交えて講義を実施していただきました。

講義では、岩倉使節団150年を記念して、日文研が京都精華大学/京都国際マンガミュージアムと共同で制作に取り組んでいる、岩倉使節団のマンガ、登場するメイン・キャラクターを紹介しつつ、150年前の岩倉使節団の面々のチャレンジを通じて、日本の近代化とは何だったのかを考える機会を提供された講義はとても分かりやすく、受講者は熱心に聞き入り、参加した大学関係者等学識者からも“impressive”と高い評価を得ました。

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© nichibunken

講義における、キーメッセージは以下のとおりです。

岩倉使節団;国の洋服を求めて

  • 西洋文明といっても様々な国があり、歴史や伝統を異なり発展の度合いも差があり、焦らず国情に見合ったかたちで国力を蓄えていくべき。
  • 自分たちの姿に合わせた服をあつらえるかのように、国家には憲法が必要。国家に憲法があり、国の姿かたちが明らかとなる。

伊藤博文と明治憲法の制定;フォン・シュタイン教授(ウィーン大学)との出会い

  • シュタインが教えたこと、それは憲法だけ作ってもうまくいかない、憲法が機能するためには、それに合わせて「国のかたち」を作り変えないといけない。
  • 行政が機能停止にならないように、行政の組織・運営の確立、行政を率いる内閣制度の設置、行政活動を担う人材を養成するために、国の機関としての大学を整備が重要。

伊藤博文の思い;

  • 貧農の出自という生い立ちに照らして、才能と知識のある人がそれを発揮していける社会を作る。
  • 知識をもった国民とともに政治を行うための仕組みが憲法。
  • 議会とは国民から選ばれた議員が議論し、知識を交換して、妥協と譲歩を行い、調和をもたらす場所のはず。⇒ 世界中のデモクラシーの課題。

パラグアイ

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(国立アスンシオン大学で受講生、関係者らと)

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(国立イタプア大学学長、副学長らと瀧井教授)

アルゼンチン

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(国立ラ・プラタ大学での講義の模様)

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(アルゼンチン国際関係評議会有識者との懇談)

今後の取り組み

今回の日文研・瀧井教授による一連の講義、意見交換が、各訪問先で高い評価を得たことから、今後、国際日本文化研究センター(日文研)との連携等を通じて、各国でのJICAチェアの充実強化を図って行きます。

以上