地雷・不発弾対策のアフリカ向けセミナーを開催

掲載日:2023.10.20

イベント |

概要

イベント:HDP Nexus in Mine Action – for stronger national ownership
日時:2023年10月5~6日(2日間)
場所:ケニア・ナイロビ
共催:国連地雷対策サービス部(UNMAS)、カンボジア地雷対策センター(CMAC)

主な参加者

エチオピア、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン各国の地雷対策機関及びUNMAS事務所、CMAC、UNMASスーダン事務所、UNMAS本部、JICA本部、JICAケニア事務所、在ケニア日本国大使館から約25名が参加。

背景・目的

近年、地雷対策分野においても、人道、開発、平和の視点から包括的な支援が必要との認識が広がっており、紛争が完全に終了する前から着手する緊急対応の地雷対策から、復興・開発に資する地雷除去活動への円滑な移行と、効果的な地雷対策活動の実現が重要視されています。

例えばカンボジアでは、1970~80年代の内戦中に全土に地雷が埋められ、多くの被害が出ていました。内戦終結後の1992年に国連平和維持活動(PKO)が始まって以降対策を開始し、30年にわたり地雷対策プログラムを発展させてきました。中でも、カンボジア地雷対策センター(CMAC)は、プログラムの中心を担う政府の実施機関として能力を向上させてきました。

JICAは1998年からCMACと協力を続け、2010年以降はCMACの知見・技術を他の地雷・不発弾被害国に共有する取り組みに力を入れています。コロンビア、ラオス、アンゴラ、イラクなどへの協力は、この「南南協力」によるものです。最近では、CMACによるウクライナの地雷対策関係者への研修等も進めています。CMACを通じたカンボジアの地雷対策に関する制度・組織・技術の共有が、各国の地雷対策の能力強化や、世界の地雷問題の解決に貢献してきたのです。

国際機関である国連地雷対策サービス部(UNMAS)は、紛争中、あるいは紛争直後の状況にある国の地雷対策活動を行っています。緊急的なフェーズで主に活動するUNMASと、緊急期から復興、開発期まで地雷対策プログラムの発展段階を経験したCMACが協力を深めることで、緊急時から中長期的な視点まで、それぞれの国・地域に必要な取り組みを特定することができ、人道・開発・平和のネクサス(連携)の考え方にも合致した、より効果的な地雷対策プログラムを世界の国々に展開・拡大することが期待できます。

ワークショップ概要

今回のワークショップにはアフリカ4か国(エチオピア、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン)の政府機関が参加し、

以上を目的に、2日間に渡り議論が展開されました。

ワークショップ冒頭、JICAから地雷・不発弾対策分野の協力概要とワークショップ開催目的を説明した後、UNMASとCMACからそれぞれの組織や活動等について説明が行われました。その後、アフリカ各国の地雷対策政府組織より、地雷や不発弾による国土の汚染状況、組織や制度の概要、戦略、活動、能力強化のニーズ等についてプレゼンを実施し、CMAC、UNMAS、JICAがフィードバックを行いました。

その後、今後の協力や連携可能性についての議論が行われました。アフリカの参加者からは、CMACの30年にわたる実績に裏付けされた知見に大きな関心が注がれ、より深くCMACの知見を習得したいという意向が強く示されました。地雷・不発弾対策は緊急対応で終了するのではなく、国の開発を見据えた中長期的な活動が必要であり、持続性を担保するためには「各国政府のオーナーシップ」「政府の専門的な実施機関」などの必要性が多くの参加者から再三言及されました。この他、効果的・効率的な地雷・不発弾対策を実施するため、ベースライン調査・NTS(ノン・テクニカル・サーベイ:聞き取りなどの調査)が重要であるとの認識が共有された一方、4か国共に質の高い調査は実施できていないことも確認されました。

画像

ワークショップの様子

今回のワークショップの成果として、

が確認されました。併せて、ワークショップの結果を各国内の地雷対策関係機関と広く共有することも合意されました。域内における情報・意見交換の必要性が再認識されるとともに、ワークショップを通じて構築されたネットワークを今後も活用していくことが提案されました。

ワークショップに参加した各国の参加者からは、ワークショップでの議論の有用性が強調されるとともに、CMACの活動視察への期待、域内及び当該分野で先行しているカンボジアの関係組織と専門的な議論をする機会が提供されたことについての感謝が述べられました。UNMAS、JICA、CMACからは、今回の議論を通じた各国のオーナーシップの意識の高まりと、これを維持・強化していくことの重要性を改めて確認し、二日間のワークショップが終了しました。

画像

参加者集合写真