セミナー・シンポジウム報告

掲載日:2023.12.06

イベント |

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再び、リビアの若手企業家と政府関係者に日本の「カイゼン」をチュニジア経由で伝授(JICA・WFP共催、チュニジア産業省の協力)

概要

会議名:第2回リビア向け「カイゼン」ワークショップ
開催日:2023年11月13日~11月17日(第1グループ)および同年11月20日~24日(第2グループ)
主催: JICAチュニジア事務所およびWFPリビア事務所
協力:チュニジア産業・鉱業・エネルギー省(以下産業省と略す)
場所:チュニジア・チュニス

主な参加者

第1グループ開会式登壇者は、
①在リビア日本大使館臨時代理大使 天寺祐樹
②リビア産業鉱物省副大臣 ムスタファ・エルサム
③JICAチュニジア事務所長 宮田真弓
④WFPリビア事務所副代表 三澤康志
⑤チュニジア産業省 国家品質・生産性プログラム管理長(以下UGPQPと訳す)ズハイエル・マクルフィワークショップ参加者は、リビアの若者起業家19名、リビア5省庁(外務省・産業省・労働省・地方自治省・国家経済社会開発委員会)20名およびWFP事業関連NGOスタッフ2名・WFPスタッフ1名・女性参加者保護者1名の計43名(第1グループ21名、第2グループ22名)

背景・目的

2023年2-3月に実施されたJICA・WFP・チュニジア連携によるリビア向け「カイゼン」ワークショップが成功裏に終了し、リビア政府からも高い評価をいただいたことから、その第2回開催をWFPリビアから要望されていました。リビア東部は今年9月の暴風雨による洪水により甚大な被害を受け、WFPリビアはその対応のために多忙を極めていましたが、リビアにとって重要なワークショップであるとの同代表の判断から、その要望は取り下げられませんでした。JICAチュニジアとしては、2024年から始まる予定の「カイゼンプロジェクト・フェーズ3」において、カイゼンマスタートレーナーの育成やカイゼンの第三国普及を視野に入れていることもあり、積極的に共同開催に至ったものです。

内容

第1グループのワークショップ初日の開会式では、天寺在リビア日本臨時代理大使、エルサム・リビア産業鉱物省副大臣、マクルフィUGPQP室長、三澤WFPリビア副代表、宮田JICAチュニジア所長が挨拶をしました。
宮田所長からは、JICAとチュニジアの15年以上にわたるカイゼン普及協力によって、チュニジアがカイゼン分野におけるアフリカのリーダー国の一つになったこと、その具体例として、チュニジア企業は、カイゼン実践による優れた実績により、2020年から4年連続で「アフリカ・カイゼン・アワード」を受賞していることを紹介しました。

ワークショップでは、5S、ムリ・ムダ・ムラ、自動化、7QCツールなどのカイゼンの基礎となる考え方や実践について、講師となったチュニジア産業省のマスタートレーナーは、参加者に作業を与え、質問を多く交えながら説明していました。参加者とのコミュニケーションを重視して考えさせる教授方法は、日本の専門家がチュニジア人トレーナーを育成する際にも用いられていますので、マスタートレーナーがカイゼンの教授法もきちんと習得していることがわかりました。

両グループともに、3日目の午前中は3班に分かれ、カイゼンを実践している大小3つのチュニジア企業を視察しました。ワークショップ後に実施された参加者への満足度調査では、視察が一番高く評価されており、カイゼンで重視する「ゲンバ」が理解を深めることにつながることを証明しています。同日午後の座学開始時には、今年の大企業部門にてアフリカ・カイゼン・アワードを受賞したチュニジア企業の授賞式を執り行いました。第1グループの前でJICAチュニジア事務所の城後次長からトロフィーと賞状を授与された1等賞(優秀賞)企業は、引き続きワークショップにて特別講義を行いました。同様に、翌週は第2グループの前で2等賞(優良賞)企業が賞を授与され、第2グループに特別講義を行っています。

本ワークショップでは、開催前の2週間前にオンラインによるオリエンテーション兼事前研修が実施され、参加者には現在の課題を考えてくる宿題が出されました。更に、開催2か月後には、各自が実践するカイゼンについて、課題・対応・成果を記入、カイゼン前と後の写真を添えて簡潔に報告することが義務付けられています。どのような報告がなされるかが待たれます。

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