第9回自治体等水道事業関係者勉強会を開催

掲載日:2023.12.27

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概要

2023年12月7日(木)、第9回自治体等水道事業関係者勉強会(以下、本勉強会)をオンラインにて開催しました。日本が誇る安全な水道水の供給は、自治体等の皆様のノウハウと努力によって維持されており、水道分野の国際協力においては、自治体等の皆様のご協力が欠かせません。本勉強会は、自治体等による水道分野の国際協力の多様な取り組み事例、工夫、教訓、及び国内外の国際協力の動向を共有することにより、自治体等による国際協力の一層の効果向上や参画の促進を図るとともに、関係者間の連携や協力事業間の相乗効果の発現を促進することを目的としています。
本勉強会は、2013年度の第1回以降、関西、中部、横浜、九州、東京と日本全国で定期的に開催しておりましたが、2020年度からは新型コロナウイルス流行のためオンライン開催としています。今回は自治体関係者、関係機関及びJICA等から総勢110名が参加しました。
勉強会では、JICAや自治体・関係機関から水道分野の多様な取り組み事例等が共有され、グループディスカッションでは、「自治体による国際協力促進に向けた方策」について活発な議論が交わされました。

内容

1.JICA地球環境部からの情報共有

JICA地球環境部水資源グループより、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた進捗、開発協力大綱の改定、JICAの協力方針、JICA事業の動向(案件等の紹介、アジア、アフリカ幹部フォーラム開催、ナレッジの創出と共有)等について説明しました。

2.各種JICA事業の状況、自治体等による事例紹介と多様な取り組みや工夫

JICAの草の根技術協力、民間連携事業、課題別研修の動向等をJICAから発表しました。その後、自治体及び関係機関よりそれぞれの事業の事例紹介、工夫や教訓について発表がありました。
草の根技術協力の事例として、川崎市上下水道局から「インドネシア マカッサル市における地下漏水対策への取組み」の紹介と今後の課題や方向性、及び川崎市が持つノウハウや取組の効果的な活用方法について発表がありました。
名古屋市上下水道局からは「メキシコ市における上下水道震災対策強化プロジェクト」の紹介と最終成果報告の発表がありました。また国際協力への理解促進に向けた同市の取り組みも共有されました。
民間連携事業では、JICAから「中小企業・SDGsビジネス支援事業」の概要を説明し、事例を挙げながら自治体等による協力と地元企業への応募勧奨をお願いしました。
課題別研修事業では、以下3つの発表がありました。
JICA横浜と横浜市水道局からは「アフリカ地域都市上水技術者養成」の実施状況と課題、JICA沖縄と地球環境部水資源グループからは「沖縄の水道分野課題別研修」の実施状況と課題別研修から専門家派遣へと発展した事例紹介、JICA関西と地球環境部水資源グループからは「課題別研修と留学生の連携事例」を発表しました。
また、「自治体による国際協力促進に向けた方策」として、横浜市水道局から「国際貢献活動の市民広報」として、国際貢献開始50周年記念事業の紹介と国際貢献に関する市民の理解への成果が発表されました。北九州市上下水道局からは「海外事業の広報」として、2023年に「大賞」を受賞した「第25回日本水大賞」を好機として、いかに時流に沿った広報を展開するかの事例発表をいただきました。

3.グループディスカッション

「自治体による国際協力促進に向けた方策」をテーマに、3つのグループに分かれてディスカッションを行い、最後に各グループでの討議内容の結果を発表していただきました。
水道料金徴取で事業を行っている水道事業体が、国際協力をどこまでやっていくかという課題には、担当部署のみならず事業体全体の理解促進が非常に重要であり、あわせて市民の理解を得る努力を継続していくべき、という意見が多く出ていました。
各自治体等が抱えている課題に対して、他の自治体等などから解決策や工夫などが共有されることの必要性が改めて認識され、周辺の自治体等との横の繋がりや連携のメリット等の意見が出ました。そして、今回の勉強会のような場が横の繋がりや情報共有することに最適であるというご意見も頂きました。

4.質疑応答

現地の課題に効果的な本邦企業の技術、日本とメキシコ市の水道の違い、自治体による国際協力促進に向けた方策の中でも広報活動で特に効果的なものは何か等の質問があり、発表者の皆様や他の自治体の方々からの経験や事例を交えて回答いただきました。

5.今後の取り組み

勉強会終了後に参加者から「他自治体との情報交換の場は少ないため、とても有意義なものとなった」「今後の国際協力に向けた取り組みへの参考となった」などのコメントをいただきました。また、「これから海外業務を始めようと考えている自治体等も参加できる場があるといい」「ディスカッションの時間をもう少し長くしてほしい」という今後の勉強会への期待を込めた意見もいただきました。
JICAの水道分野協力方針は、本邦自治体による水道事業への取り組みをモデルとしており、本勉強会のような自治体等の皆様との連携強化の場は、JICAにとって極めて重要な学びの場ともなっています。
今後とも、国際協力の重要なパートナーである国内自治体や関係機関との連携を強化して、各地域の特性や強みを活かした国際協力を一層発展させていきます。

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集合写真1

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集合写真2