秋篠宮皇嗣同妃両殿下が帰国したJICA海外協力隊員と御接見

2023.11.08

帰国したJICA海外協力隊員の代表が10月13日、赤坂御用地において秋篠宮皇嗣同妃両殿下に御接見の栄を賜り、任国での活動をご報告いたしました。

今回帰国した青年海外協力隊員は、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響を受け、派遣が延期されたり、日本への一時帰国を余儀なくされたりしながらも、日本での待機期間中には、現地へオンラインでの支援活動や能力強化などを行い、これらを現地に戻った際の活動に生かすなど、コロナ禍を乗り越えて派遣国での活動に従事しました。

今回、両殿下にお目にかかったのはアジア、アフリカ、中東、中南米の国々に派遣されていたJICA海外協力隊5名です。御接見に先立ち、JICA本部(東京都千代田区)で田中明彦理事長と面談しました。

前列左から石井理紗子さん、神崎早紀子さん、田中理事長、臼井希さん、泉安佐さん、 後列左から大塚理事長室長、北川諒さん、橘青年海外協力隊事務局長

前列左から石井理紗子さん、神崎早紀子さん、田中理事長、臼井希さん、泉安佐さん、
後列左から大塚理事長室長、北川諒さん、橘青年海外協力隊事務局長

ラオスと日本の文化を融合し、住民の生計向上に寄与

北川諒さん(ラオス派遣、職種:コミュニティ開発、34歳、千葉県出身)は、ビエンチャン県ナムグムダム北部にある、森林保全を目的に設立した造林センターに配属され、同センターが行う住民の生計向上を目的とした、紙布など手工芸技術の普及支援に携わりました。主な活動は、自然保護、ラオスと日本文化の融合、SDGs、の視点から、天然の素材や染料を使用して手織りする「紙布織」のブランド力を強化し、多くの展示会に出展すること。商品の取引先開拓にも貢献しました。また、丸亀うちわの技術を継承する同センター職員の自発性を促し、うちわ作りワークショップを企画、小学生など幅広い層にラオスと日本の伝統的工芸品を知ってもらう機会を設けました。

生産者と紙糸を草木染している様子

生産者と紙糸を草木染している様子

日本での教員経験を活かし、すべての人に教育の機会を

石井理紗子さん(ルワンダ派遣、職種:小学校教育、30歳、埼玉県出身)は、首都キガリ市内の私立学校2&5クリスチャンアカデミーにて、児童・教員を対象とした図画工作の授業についての意識調査を実施し、実態を把握した上で、現地の教員が実施可能なカリキュラムを提案しました。また、図画工作や体育の授業を通して豊かな感性と想像力を育てる情操教育を行ったほか、特別支援教育や図画工作の研修、およびICT教育を取り入れた授業のサポートを行い、教育の質の向上を図りました。さらに、教員が主体的に図画工作の授業を行えるよう、教材や指導マニュアルを作成し、児童の作品が多くの人の目に触れるよう学校の一角にアートギャラリーを設置するなど、学習環境の整備に取り組みました。

低学年のクラスで、手遊びなどを交えながら授業を行っている様子

低学年のクラスで、手遊びなどを交えながら授業を行っている様子

子どもの健やかな成長のために、食育の大切さを伝える

神崎早紀子さん(エジプト派遣、職種:学校保健、33歳、和歌山県出身)は、首都カイロから北東に位置するポートサイド市にある社会連帯省ポートサイド支局こども家族部にて活動を行いました。社会連帯省はエジプト全土に支部を置き、障害者や孤児、保育園等の福祉分野を総括する省庁であり、同支局こども家族部では、保育園を巡回し、環境衛生管理や保育士への指導等を実施しています。巡回先の保育園では、食育指導を中心に活動に取り組みました。また、任期中に3回、同じ配属先で活動する幼児教育隊員とともに同支局の保育士を集め、研修会を実施しました。この研修会は、帰国後も継続して実施されています。

市内の保育士を対象に、保育園での食育に関する研修会を実施した際の様子

市内の保育士を対象に、保育園での食育に関する研修会を実施した際の様子

日系社会で、遊びを通した保育の普及に取り組む

臼井希さん(ブラジル派遣、職種:幼児教育、30歳、福岡県出身)は、ベレン市の越知日伯学園が運営する日本式幼稚園にて、教員自身が見通しをもって保育計画の作成・実施ができるよう、年間指導計画に活用・作成・実施・改善(PDCAサイクル)を取り入れる等の活動を行いました。また、ブラジル人教員と日系人教員の引継ぎ強化のため、保育日誌を導入し、保育の質の向上に貢献しました。保護者に向けては、日本の保育(遊びを通した保育)への理解・普及を目的とし、園便りの配布や学校のSNSでの情報発信を行いました。また、ブラジル人教員には、運動会や料理教室等に参加してもらい、日本の保育を学んでもらう機会を設ける活動も行いました。

日系人教諭とともに廃材を活用し、アマゾン川をテーマにした作品展を開催した時の様子

日系人教諭とともに廃材を活用し、アマゾン川をテーマにした作品展を開催した時の様子

日本語教師を育成、学生たちへの継続的な指導に携わる

泉安佐さん(タジキスタン派遣、職種:日本語教育、73歳、北海道出身)は、ロシア・タジク・スラブ大学に配属され、現地日本語教師の育成のため、現地教師とともに、初級日本語クラスを週23~26コマ程度担当しました。具体的な活動内容は、日本語履修生に適したカリキュラムの提案、教科書を選定して、それに基づいた副教材の作成など。また、タジキスタンでは毎年、日本語弁論大会が開催されており、配属先をはじめ他の大学等教育機関の学生達への日本語弁論大会の指導、また現地教師を対象にした指導支援を行いました。帰国後も日本語の学習を希望する熱心な学生を対象に、オンラインで日本語の指導を継続しています。

新人日本語教師の育成のため、日本語クラスでともに授業を行う様子

新人日本語教師の育成のため、日本語クラスでともに授業を行う様子

御接見を終えて

御接見後、参加者からは、「最初は緊張していましたが、両殿下のお心遣いやあたたかい雰囲気に緊張が和らぎました」「両殿下が真剣に活動報告をきいてくださり、協力隊の活動への関心の高さに感動しました」などの感想をいただきました。

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