セミナー「暴力的過激主義の影響を受けるアフリカ地域の安定と予防のための選択肢」

掲載日:2023.08.17

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セミナー「暴力的過激主義の影響を受けるアフリカ地域の安定と予防のための選択肢」

今般、JICA緒方貞子平和開発研究所は国連開発計画(UNDP)と共同で、暴力的過激主義防止(PVE)のための新たな研究成果を活用し、主要な政策立案者と実務者を一同に集める対話イベント「暴力的過激主義の影響を受けるアフリカ地域の安定と予防のための選択肢」を開催する運びとなりました。

セミナー概要

暴力的過激主義の拡大は、アフリカ社会全体において平和、安全、発展の成果に対する差迫った脅威をもたらす多面的な現象です。暴力的過激主義の壊滅的な影響に対抗するため、国際社会が多大な投資を行っているにもかかわらず、アフリカにおける暴力的過激主義は後退するどころかさらに拡大・拡散しており、事実上、アフリカ大陸は暴力的過激主義の新たな震源地となっています。2021年だけでも、アフリカは世界のテロによる死者の48%を占め、サヘルでは2007年以降、攻撃件数が10倍に加速しています。2023 年度グローバル・テロリズム指数によると、2022 年のサヘルにおけるテロによる死者数は、南アジアと中東・北アフリカ(MENA)の合計を上回りました。

特にアフリカのサヘル地域における暴力的過激主義を特徴とする安全保障上の緊急性は、アントニオ・グテーレス国連事務総長も強調しており、暴力的過激主義を助長する安全保障上の問題やその他の構造的要因に対処し、世界テロ対策戦略の柱をバランスよく推進するための国際的な協調努力を呼びかけています。協調的な取り組みがなければ、暴力的過激主義の影響はアフリカ大陸を超えて広く世界に影響を及ぼす危険性があります。

アフリカでは、予防的なアプローチや安全保障化された事後対応への投資拡大を求めるデータや慣行が台頭しているにもかかわらず、予防的で長期的な開発、平和構築、暴力的過激主義の防止(PVE)に対するODAの世界的な資金援助は頭打ち、あるいは2%にまで減少しているのが現状です。しかし、新たな証拠は、平和構築対応への投資に対するプラスのリターンを示しており、その比率は16: 1と見積もられています。つまり、現在1ドル投資するごとに、長期的には紛争のコストを16ドル削減できるということです。

UNDPは国連の主要な開発機関として、主要パートナーとともに、暴力的過激主義の根本原因に対処するため、補完的な開発と証拠に基づくアプローチを推進する最前線に立ち続けてきました。

開発ベースの解決策を先取りすることの重要性を考慮し、UNDPは、PVEレポート・シリーズ(PVEに関する分析的研究報告書)を発行しました。これは、PVEという新たな現象を解き明かし、その蔓延を防止するための新たな開発ベースの計画・政策的対応を提示するためのものです。これには、主要な報告書『アフリカにおける過激主義の実態:参加と離脱に至る道』 や、調査研究報告書『アフリカにおける暴力的過激主義の力学:紛争のエコシステム、ポリティカル・エコロジー、原始国家の広がり』、また、 2022年11月に発行された『認識、脆弱性、予防:リビア南部国境地帯とナイジェリア北西部の特定地域における暴力的過激主義の脅威アセスメント』を含みます。

この新たなエビデンスは、暴力的過激主義に至る極めて局所的な経路と根本原因を解明することに貢献し、予防的で、根拠と開発に重点を置いたアプローチを通じ、主流とするべく安全保障的介入を再考するための強力な事例となるものであります。この新たなエビデンスベースの知見と政策提言は、政策立案に必要な情報を提供し、紛争と暴力過激主義の要因に対処するアフリカにおけるエビデンス主導の活動をさらに改善することを目的としています。

今般開催する対話は、上智大学人間の安全保障研究所(SIHS)後援のもと、国連開発計画(UNDP)とJICA緒方貞子平和開発研究所が共催し、政策立案者、学界、研究機関、民間セクター、非政府組織、メディアなど、日本および各国・地域の関係者が参加し、PVE報告書シリーズから得られる情報をもとに、アフリカとアラブ諸国における暴力的過激主義の防止と対処に向けた持続的な支援を促進することを目的としています。

またこの対話イベントにより、政策立案者、実務家、国・地域の関係者間の政策対話を促進し、報告書から浮かび上がった洞察を掘り下げ、グローバルなステージにおける戦略的な政策やプログラムへの示唆を掘り下げること、経済への具体的な波及効果とともに、人々の命や生活、長期的な開発進展への多面的な打撃を考慮しつつ、国際社会がどのようにすればより費用対効果の高い方法で開発を進めることができるかについての考察を促す機会となることが期待されます。これにより、消極的な対策から、補完的で広範囲に及ぶ成果や平和の配当への転換が促されることになります。

セッションの1つでは、若者の才能への投資に焦点を当て、大陸における開発の展望を掘り下げ、著名なパネル・メンバーが、アフリカの若者の成長とリーダーシップ育成を共同で促進するための展望、ギャップ、協力の可能性について掘り下げます。

登壇者

  • 谷合正明 公明党・参議院議員
  • アフナ・エザコンワ UNDP総裁補兼アフリカ局長
  • 峯 陽一  JICA緒方貞子平和開発研究所 所長
  • ニリナ・キプラガット UNDPアフリカ地域サービスセンター平和構築アドバイザー
  • ジョルダーノ・セグネリ UNDPアラブ諸国地域ハブ ガバナンス・平和構築コーディネーター
  • 花谷 厚 JICA緒方貞子平和開発研究所 主任研究員 
  • ファティマ・アキル NEEM財団専務理事
  • 永井陽右 アクセプトインターナショナル 代表理事

プログラム

16:00~16:10 開会挨拶
16:10~16:20 来賓挨拶
16:20~16:35  基調講演
16:35~17:20 パネルディスカッション
17:20~17:40 Q&Aセッション
17:40~17:50 振り返り
17:50〜18:00  閉会

参加申し込み

本セミナーは事前申し込み制です。以下より申し込みをお願いいたします。

お問い合わせ

JICA緒方貞子平和開発研究所 担当者:槌谷恒孝
Eメール:tsuchiya.tsunetaka@jica.go.jp
UNDP駐日代表事務所 担当者:近藤千華
Eメール:chika.kondoh@undp.org