なぜ中国でポリオを撲滅できたのか?-中国・山東省発「科学的現場主義」の国際協力-

掲載日:2014.03.10

イベント |

イベント内容

なぜ中国でポリオを撲滅できたのか?
-中国・山東省発「科学的現場主義」の国際協力-

JICA研究所では、これまでに行ってきたJICAの事業を振り返り、その軌跡と成果を分析して書籍としてまとめた「プロジェクト・ヒストリー」シリーズを刊行しています。本シリーズの第9弾として、2月上旬に『ぼくらの村からポリオが消えた 中国・山東省発「科学的現場主義」の国際協力』が刊行されますので、出版記念セミナーをJICA研究所と地球ひろばとの合同で開催いたします。

「小児マヒ」の通称で知られるポリオという病気は、かつて日本でも大きな脅威でしたが、1960年代中葉以降流行が収まり、1980年を最後に自然感染によるポリオの報告はありません。しかし世界ではその後も猛威をふるい続け、とくにアジア、その中でも世界最大の人口と広大な貧しい農村地域を抱えた中国においてその脅威は著しく、中国政府は、1990年代の初めからその撲滅のための対策に本格的に動き出します。その取組みは、世界保健機構(WHO)、ユニセフなどの国際機関やロータリー財団など、国際的な支援を幅広く受けましたが、その中でも特に重要な役割を果たしたのは実は日本からの協力でした。そして、中国における取組みは着実に成果を上げ、2000年、WHOは、ついに西太平洋地区(中国を含む)におけるポリオ撲滅を宣言するに至ります。

中国におけるポリオ撲滅——それは「奇跡」とさえ言われた——の達成に至るまでに、日中両国の専門家たちは、どのようにして困難な課題に取り組んでいったのでしょうか?

「生ワクチンを投与しているのになぜポリオが流行するのか?」

調査のために訪れた日本人専門家は、中国の大部分の省で生ワクチンが90%以上投与されている中で、なぜ大規模な流行が発生しているのか、疑問を抱きます。そしてこの謎を解くために、日中合同サーベイランスチームが、中国の農村の深層に分け入り、真実を追究する活動を開始します。そこで専門家が見たものとは・・・。

このセミナーでは、書籍の中にも登場するJICA専門家やプロジェクトに携わった関係者などから、現地でのポリオとの闘いの様子や、その後の世界のポリオ撲滅の動向などをご紹介いただきます。長期間にわたって中国、さらには世界のポリオ根絶を支援してきた専門家の報告をお楽しみください。

講師: 
千葉 靖男氏(元JICA中国ポリオ対策プロジェクト・チーフアドバイザー、元国立国際医療センター国際医療協力局派遣協力第二課長)
【略歴】札幌医科大学小児科助教授などを経て、1988年に国立国際医療センター(現国際医療研究センター)厚生技官に就任。90年11月から92年12月、95年4月から99年12月の二度に渡りJICA中国ポリオ対策プロジェクトのチーフアドバイザーとしてとして中国に派遣され、山東省を始め中国各地で農村地域のサーベイランスを徹底的に行い、中国のポリオ撲滅に貢献。その活動が高く評価され、99年11月に中国政府・衛生部より中国衛生賞を受賞。

パネリスト:
吉倉 廣氏(元JICA中国ポリオ対策プロジェクト国内支援委員、元国立感染症研究所長)
【略歴】 国立予防衛生研究所、東京大学医科学研究所を経て東京大学医学部細菌学教授、国立感染症研究所副所長、国立国際医療センター研究所長、国立感染症研究所長。実験室診断とサーベイランスに関し1990年から2011年迄JICA中国ポリオ対策等事業に参加。

牧本 小枝氏(JICA人間開発部保健第三課長)
【略歴】国際保健を学んだ後、1996年にJICAに入団。その後、医療協力部、WHO西太平洋地域事務局、無償資金協力部、人間開発部、JICAバングラデシュ事務所等で、アジア地域の保健医療事業を中心に担当。WHO西太平洋地域事務局では、拡大予防接種ユニットで1998年から2000年の2年間、同地域のポリオ対策に従事した。

司会:
岡田 実(JICA研究所参事役)
【略歴】民間企業を経て、1988年にJICAに入団。その後、JICA中国事務所員、援助調整専門家、中国事務所次長として約10年間対中ODAに従事。その間、ポリオ対策プロジェクトの立ち上げ期に、中国事務所員として担当。『ぼくらの村からポリオが消えた 中国・山東省発「科学的現場主義」の国際協力』執筆者。

申込み方法

電話またはEメールにてお名前・ご連絡先をお知らせのうえお申込みいただくか、地球ひろばウェブサイトからお申込みください。

問い合わせ先

JICA地球ひろば 地球案内デスク
電話番号:0120-767278 Eメール:chikyuhiroba@jica.go.jp