所長あいさつ

JICAキルギス事務所のホームページをご覧くださり、ありがとうございます。
わたくし、2021年12月末にキルギス事務所に赴任しました川本寛之と申します。
この度、2年近く前から続く新型コロナウイルス感染症の影響のさなか、国境を越えて海外赴任することの重みを感じ、こういう時だからこそ、数々の制約の中、現地で出来ることを積み重ね、世界と日本を信頼でつなぐ取り組みに携われることに感謝しています。

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さて、「キルギス」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべられますか?
きっと日本の多くの方にはイメージを持ちにくい場所ではないかと思いますが、少なくとも私の世代以上の方におかれては、かつて玄奘三蔵が仏教の経典を求め、シルクロードを伝って天竺へ赴いた際に通った場所の一つで、天山山脈のふもとにある国、というと少し馴染みやすいでしょうか?
この国は、首都のビシュケクからも天気の良い日は雪をかぶった美しい天山山脈の峰々を眺めることができますが、国土の約9割が標高1,500メートルを超える山国で、最も高い山に至っては7,439メートルの山もあります。また、8,000を超える氷河があり、そこから流れ出る水を大事に、農業や畜産業を営む人が多く住む国です。

1991年に独立して以来、キルギスはCIS諸国では最初となるWTOへの加盟を行うなど、市場経済を積極的に取り入れ、国を興す努力を継続していますが、まだまだ厳しい状況にあります。特にコロナ禍にあっては、経済がマイナス成長を記録するなど、甚大な影響も受けています。背景には、国内に産業が十分には起きていないため、海外に若者が出稼ぎに出ないといけず、国外の情勢に大きく左右されてしまう、ということがあります。
現在、キルギス共和国政府は、2040年までの国家開発長期計画及び2026までの中期計画を策定し、地方開発を進めています。
私どもJICAは、1993年にODAによるキルギス支援を開始し、2000年に首都ビシュケクに事務所を設け、以来、この国の産業振興を推進するための運輸インフラ等を支援するともに、日本発の「一村一品運動」をキルギスの現場に沿った形で紹介し、地方の農村部におけるビジネス振興や輸出産業振興に努めてまいりました。また、早くから人材育成のための留学支援制度を実施し、この制度の参加者の中から初めて大臣に就任される方も輩出されるに至っており、非常に親日的な国民感情を持ってくださっていることも相まって、両者の信頼関係は強まっていると感じています。
コロナ禍で、コロナ前と同じような事業展開が出来ない面もありますが、逆に出来ていることもあり、災い転じて福となせるよう、将来を見据えながら出来ることを進め、先人たちの残した効果を継続し、発展させていけるよう尽力する所存です。
今後も当ホームページに様々な取り組みを掲載したいと思いますので、ぜひ、また、訪れてみてください。

2022年1月10日
JICAキルギス共和国事務所長 川本寛之