【インタビュー記事】「日本にいるのは夢のよう!だけど故郷にいるような感覚!第二の故郷日本!~好きな言葉は『一期一会』~」(日墨研修:日本の伝統とデザインコース~)

2023.11.07

日本とメキシコのアイデンティティを持つYukiko Uscanga さん。
挑戦する!という勇敢さや、デザインに対する愛、日々に感謝をし、その時の出会いや瞬間を大事にするという姿勢。家族や母国から離れたことで、いかに自分が恵まれているのかを知ったと語ってくれました。
二国のアイデンティティを持つYukikoさんですが、今回の経験によってメキシコ人としての意識も強くなり、自身の中のメキシコ人の部分、日本人の部分、各々にとても誇りを持つようになった!と語ってくれました。

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私と日本のつながり

両親は日本で10年間生活したことがあり、私は日本で生まれ、6歳まで日本で育ちました。
両親から日本について教わり、また家庭の中の価値観は日本由来のものがある等、小さい頃から常に何らかの形で日本の文化に触れていました。
小学校から高校までLiceo Mexicano Japonés(日墨学院)に通い、文化祭や運動会などを体験し、メキシコにいながら日本のような環境で育ったので、私にとって日本は故郷のような、特別な印象を抱いています。

日墨研修に参加したきっかけ

もともと日本で何かできる機会を探していました。
進路に迷っていた時に日墨研修のことを知り、研修期間もちょうどよく、日本で技術を学び、今後のキャリアに対する意欲を高められると思いました。
絶対に貴重な経験になる!と思ったと同時に、挑戦しても失うものは無いと思い参加を決意しました。言語学習や旅行、大好きなデザインの勉強、日本人との異文化交流など日本で体験すること全てが楽しく夢のような時間を過ごしています!

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日墨研修で得たコト

様々な日本の伝統デザイン技術(①瓦、②七宝、③組紐、④金彩、⑤和紙 ⑥金属)を体験する機会が得られたことです。

職人の下で、4日間、染色技術である絞りから藍染めまで学びました。また、私が知っていた自然染色(アボカドを使用した染色)で技術交流ができたことは、とても良い経験です!
研修全体を通して、デザイン作成の過程を知ることができ、さらに日本の工芸職人の日々の生活まで知ることができたことに感謝しています!

私は「一期一会」という言葉が好きです。その時の出会いは、二度と繰り返されないのだ!という事を常に心に留め過ごすようになりました。それが、たとえ同じ場所にいても、同じ相手だったとしても、同じことは二度と起きないのです。だからこそ、その瞬間を楽しみ、人生の美しさを語り、将来や過去に捕らわれず、その瞬間を大事にすることを日本人から学びました。

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京都での時間

日本滞在中は、京都に暮らしていました。
京都では、日常生活において、伝統的な面と現代的な面がうまく調和がとれていて、そのコンビネーションがとても気に入っています。府内では、愛宕山や大文字山に登り、嵐山や清滝地区等色々な場所を散策しました!

また、異文化という点では、日本人の物事をきちんと行うというところには驚きました。日本人と交流してく中で、日本人は恥ずかしがり屋で、メキシコ人は、愛情深く、ハグを好むという日本人とラテンアメリカ人の違いも感じました。日本人の友達を通してデザインや建築アート、食べ物などの異文化交流ができたことはとても素敵な経験です。

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作品に現れた変化

細部にまで完璧を求める日本のデザイン技術を学び、デザインに対する視点が変わりました。現在は、「箱入り」をテーマに作品作りに励んでいますが、来日前までは洋裁等が中心だったので、小さい作品を作ったことがありませんでした。しかし、今回の経験を通じて細部まで分析を行い、作品づくりにより時間を費やすようになりました。日本のデザインは細部の完璧さにこだわりますが、他方メキシコでは独創的・創造的なものが多いように感じます。

課題では、七宝という技術を使ったピアスや、金属で作った箱、金彩・しぼり・組紐を組み合わせたかばん、瓦を使って花瓶を作るなど日本の伝統デザイン技術を用いて様々な作品作りを行いました!

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作品に影響を与えている日本のもの

すべてから影響を受けています。伝統や文化、日本の哲学、などなど。特に建築物が大好きで、好きな日本人建築家は、西沢立衛、安藤忠雄、隈研吾です。民族芸術も学んでいて、河井寛次郎の作品も大好きです!京都にある彼の自宅に訪問した際には、多くのアイディアが浮かびました。
中でも最も心に残った体験は、豊島美術館です。現代は、携帯やハイテクノロジーが生活の一部になっているため、「考える、自分の考えと向き合う」機会が減っています。でも、豊島美術館では携帯から離れ、自分自身と向き合うことができ、言葉にはできないくらいの素晴らしい経験でした。

研修を終えて

以前はメキシコにいても、私がメキシコ人であると強く感じることはなく、同様に日本にいても、日本人であると強く感じませんでした。しかし、日本での生活を通して、メキシコ人としてのアイデンティティを徐々に感じはじめ、今ではメキシコ人・日本人であることにとても誇りを持つようになりました!
帰国後は、この研修で得た知識や技術を、メキシコの女性手工芸職人へ共有し、彼女らの生産性向上に繋がるようなサポートをしたいと考えています。メキシコ各地では工芸品の生産が盛んであり、才能がある手工芸職人はたくさんいますが、デザインについて困難を抱えているので、自分が得た知識や技術を彼女たちの工芸品生産に活かしていきたいです。

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執筆:
杉浦 里佳
JICA 中南米部中米・カリブ課インターン
活動期間:2023 年 8 月~2023 年 10 月

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