アンゴラ・モザンビーク間で自動車整備士育成に関する技術交換を実施

JICAは、2023年5月及び6月、アンゴラとモザンビークにおいて、自動車整備分野の職業訓練の現状と課題、知見の共有と、今後の両国の効果的な協力に繋げることを目的とした相互訪問（技術交換）を実施しました。

本件は、JICAが2020年から、アンゴラの豊田通商株式会社のグループ会社であるCFAO Motors Angola 社*（以下CFAO Angola社）からの委託を受けて実施している、アンゴラ雇用・職業訓練庁（INEFOP）の自動車整備指導員の育成支援の一環となるものです。
*2022年にトヨタ・デ・アンゴラ社から社名変更

「トヨタアンゴラアカデミー」と呼ばれる本プログラムは、ブラジルの全国工業職業訓練機関（SENAI）と連携しながら行われる指導員研修で、「講義」・「実習」・「OJT」の3つで構成されています。

相互訪問では、アンゴラから職業訓練校の自動車整備指導員（上記の研修受講者）2名、校長2名、INEFOP職員3名、モザンビークから同じく職業訓練校の自動車整備指導員3名、校長1名、職業訓練・労働研究機構（IFPELAC）職員1名、CFAO Motors Mozambique 社（以下CFAO Mozambique 社）2名が参加。両国を相互訪問（5日間ずつ滞在）し、技術交換が行われました。

前半のモザンビーク視察では、CFAO Mozambique 社の見学、職業訓練校の自動車整備士コースの授業見学、指導方法の紹介や、訓練校の運営状況や自動車整備士コースの課題の共有等を実施しました。

両国の自動車コースの指導内容に大きな違いはないものの、ワークショップの設備や資機材の状況はモザンビークの方がより整備されており、アンゴラでも資機材の管理面で工夫の余地があることがわかりました。ディスカッションにおいては、民間企業との連携やカリキュラム改善における工夫点、指導者の能力向上等のテーマについて活発な意見交換がなされました。

後半のアンゴラ視察では、トヨタアンゴラアカデミーでのOJTの現場視察、カリキュラムやマニュアルの紹介等の後、まとめとして、両国の視察を通して得られた課題の分析や、今後のアクションプラン作成、発表等が行われ、モザンビークからの参加者が、トヨタアンゴラアカデミーのような研修を行う上で必要な施設・設備・資機材の準備や、研修対象者の設定等、具体的な検討課題に関する参考情報を得る機会となりました。更に、自動車整備の技術的な内容のみならず、教授法やトヨタ方式の哲学についても高い関心が示されました。

「IFPELACから紹介された職業訓練に関する制度やプログラムについて、特に企業と連携した実習や、インターンシップに係る制度、職業斡旋のプログラム等、アンゴラにおいても参考になるものが多く非常に大きな学びがありました。」
「今後、トヨタアンゴラアカデミーの施設を活用してモザンビークの指導者向け研修を行うことも可能だと考えています。今後も両国間の技術交換を継続し、双方の進捗状況を確認しながら、学び合うことは大きな意味があると思います。」

「モザンビークにおいても、トヨタアンゴラアカデミーのように質の高い自動車整備士の育成ができるように、民間企業と職業訓練校の連携を進めたいです。」

アンゴラとモザンビークでは、これまでは同じポルトガル語圏であるブラジルのリソースを活用したプロジェクト（ブラジル人専門家を両国に派遣する、両国からブラジルに研修に行く、等）を積極的に実施してきましたが、今回実施した二国間の交流では、両国が直接つながって互いの知見や経験を共有し、より良い人材育成について共に議論・検討を行う非常に良い機会になったと考えています。

「トヨタアンゴラアカデミー」は、今年8月に終了しますが、今後はINEFOPが、指導員研修の成果を活用しながら、各職業訓練校において、自動車整備士育成を継続していく予定です。

今後も、周辺国、同言語圏はもちろん、これまで協力関係を築いてきた日本企業の知見やノウハウも活用しながら、自動車整備士をはじめとする人材育成に取り組んでいきます。