マナド近隣、花の町に新たな道の駅オープン インドネシア二駅目の日本式:南房総市と協力

2023.06.07

2023年5月26日、北スラウェシ州トモホン市パケワ道の駅において国際協力機構(JICA)と株式会社ちば南房総、インドネシア農業省、北スラウェシ州トモホン市出席のもと、JICA草の根技術協力事業(地域活性化特別枠)「道の駅の知見を活用したアグロツーリズム推進による農業振興と防災環境の向上」のグランドオープニングセレモニーが行われました。

本案件は、千葉県南房総市と株式会社ちば南房総がトモホン市と農業省を対象に2018年から2023年まで実施された技術協力で日本の道の駅の知見の活用により、地域・農産品・観光の有機的な広域連携と新たな販路をうみ、農家・観光事業者所得を向上するとともに観光客と住民に対する防災環境を向上することを目的としたものです。具体的には、農業観光を通じて生産現場を訪れる観光客が増えることにより、地域産品販売が拡大すること、観光関連団体の結成で広域情報の発信と広域観光ルートの形成が促進されること、有機低農薬野菜や花卉の新たな販路となること、防災機能を備える直売所を整備することで災害時に観光客や住民の避難先として活用されることが期待されています。

トモホン市は2023年3月に成田空港からの直行便が開始された州都マナドより車で1時間弱に位置します。標高800~1,100メートルの高原地帯に立地、人口の9割以上がキリスト教徒です。冷涼な気候の高原避暑地であり、ニンジンやイモなど高原野菜や菊、薔薇、蘭を代表とする花の産地としても有名で富士山に似た形のロコン山、マハウ山等の火山が美しく、トレッキング、温泉地帯、リノウ湖やトンダノ湖、多くの滝等、観光資源に恵まれています。ダイビングで有名な海の観光がブナケン島であるならば、田園や滝・湖・山の観光はトモホン市として、観光客誘致を進められる可能性を秘めています。

インドネシアでは日本の道の駅をモデルとした駐車場・地域振興施設・情報発信施設等を設置した道の駅第1号が南スラウェシ州バンタエン県に2018年9月にオープンしており、本件はこれに続く日本式の道の駅となります。バンタエン県の道の駅では県政府予算で事業が行われながらも、日本から「道の駅振興策」立案方法や望ましい道の駅経営のあり方などを紹介するなどの技術支援が行われました。また、バンタエン県の道の駅、本案件共に「全国道の駅グランプリ2000」の最優秀賞受賞駅に選ばれ、来年開業30周年を迎える「道の駅とみうら 枇杷(びわ)倶楽部」の初代所長で、「観光カリスマ百選」にも選出された加藤氏がアドバイスを行いました。今回オープンする道の駅は防災拠点としての機能も兼ね備え、日本とインドネシアの建築様式を融合しているという点が独特です。

トモホン市の住民の65%は農業従事者ですが農家の平均耕作面積は0.3ha未満で所得も低く、後継者不足も深刻化しています。同市は商品化値の高い農作物生産を通じた農家収入向上を図るため野菜の有機栽培を推進しているものの、販路が限られていることから依然農家の収入は低い状況にあります。本事業では、直売所の設置による販路拡大や同市の特性を生かした観光促進による所得向上を目的として実施されました。また、同市は活火山地帯にあり、市街地に近いロコン山は活火山で、10年に一度程度の噴火を繰り返していることから、緊急時の観光客、地域住民の避難場所として整備することが求められているという背景もあります。

式典の中で、JICAインドネシア事務所の岡村次長は「官民一体となり、将来も道の駅が発展し続けることを願う。本協力を通じて、周辺の農家の所得向上や地域振興につながること、更には防災の拠点として利用されることを期待する」と述べました。また、農業省のレイノルド氏は「この取り組みをモデルとしてインドネシア全体に広げていきたい」と述べました。

【日本式道の駅】
農産物をはじめとした地域特性を活かした地元物産品を販売することで地域の振興を狙います。

【南房総市及び道の駅とみうら枇杷倶楽部について
南房総市(加藤氏)及び道の駅とみうら枇杷倶楽部は日本における「道の駅」の草分け的存在であり(2000年に「全国道の駅グランプリ」、2015年に「全国モデル道の駅」に選定)、かつタイにおける旧JBIC事業への協力、ベトナムでの笹川平和財団及びJICA草の根技術協力事業計3期を実施しており、海外での「道の駅」を通じた農業・観光振興に豊富な経験を持ちます。

【案件背景
JICAは2016年度に「インドネシア共和国官民連携型農業振興活性化支援情報収集・確認調査」を実施しました。同調査の一環で南房総市とトモホン市のマッチングが行われ、2016年7~8月に株式会社ちば南房総の観光カリスマ加藤氏及び南房総市総務部企画財政課課長補佐がインドネシア派遣、2016年9月にはトモホン市側(市農畜水産局長、市地方開発計画局長)が来日するなどして交流が始まりました。

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トモホン市イメージ(市のweb pageより)

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毎年8月に開催されるフラワーフェスティバル

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パケワ道の駅の外観

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パケワ道の駅の中の様子

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名産のトモホンコーヒーも販売中

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焼肉など日本食が食べられる食事処も併設

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有機野菜の販売スペース

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グランドオープニングセレモニーの様子

本件に関する問い合わせ先

農業・気候変動・森林分野について

JICAインドネシア事務所担当 井上
電話番号:+62-21-5795-2112(ex.616)
メール:Inoue.Erika3@jica.go.jp

広報について

JICA Indonesia事務所広報担当 プトリ
電話番号:+62-21-5795-2112(ex.222)
メール:putrisiahaan.in@jica.go.jp

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