【JICA海外協力隊】ラオス国立博物館 第10回(最終回) 展示室2の紹介
2024.04.08
サバイディー。ラオス国立博物館で学芸員として活動したJICAシニア海外協力隊員の上山佳彦です。(3月20日帰国済み)
展示紹介シリーズの第10回は、「首都ビエンチャンの地下からお宝発見!-日本の支援による発掘調査で-」と題して、「展示室2」の展示品を案内します。今回が私のシリーズ最終回です。
写真1 ラオス国立博物館のJICAシニア海外協力隊員
ワッタイ空港と首都ビエンチャンの中心部を結ぶビエンチャン道路1号線(Vientiane Road No.1)建設工事が、2003~2007年にJICA無償支援によって実施されました。これに伴ってJICAからの委託を受けて、日本の専門調査組織によって発掘調査が実施されました。
その結果、ランサーン王国の首都(1560年遷都)として栄えていた17世紀代の人々の生活の様子を伝える10万点以上の品々が地下から発見されました。
その一部を展示しているコーナーから、4種類のコレクションを紹介します。
写真2はタバコ吸引用土製パイプ。タバコを入れる火皿の直径は、約3~3.5cm。このようなパイプが数多く見つかっているため、当時、タバコを吸う風習が大いに普及していたと推測されます。
写真3は坩堝(るつぼ)。溶かした金属を受け入れる土製容器です。直径は、5cm前後。当時、工房で職人が金属加工製品を作っていたことを示す証拠品です。
写真4は金属製の古代貨幣。円形や棒状の種類があります。中国などの周辺から搬入されたと考えられ、商品の取引に使われていたことをうかがわせます。ある程度、貨幣経済が浸透していたと推察できます。
写真5は銀製鉢。直径約13cm、高さ約8cm。口縁の外面に高度な鍛金(打ち出し)技術によって、文様が描出されています。
写真2 タバコ吸引用土製パイプ
写真3 坩堝
写真4 古代貨幣
写真5 銀製鉢
この他にも、日本から輸入された伊万里焼(佐賀県)などの陶磁器も見つかっています。17世紀代を中心に繁栄したビエンチャンには、東南アジア・中国・日本などとの交易によって、貴重な品々がもたらされたことがわかります。
以上、10回にわたってラオス国立博物館のコレクションを紹介したシリーズも、私の任期終了に伴い、ひとまず最終回とします。
長い間、記事をご覧いただき、ありがとうございました。
なお、博物館には、この他にも、フランス植民地時代から現在のラオス人民民主共和国までの歴史やラオス国内の多くの民族を紹介した展示室3~5があります。ぜひ、こちらも見学にお越しください。
開館時間: 8:00~16:00(月曜日~金曜日)、9:00~16:00(土曜日~日曜日)
観覧料:ラオス人5,000キープ、外国人30,000キープ
連絡先:電話:+856 021 212461, ファックス: +856 021 720099 E-mail: museuminfo.2020@gmail.com
地図:https://goo.gl/maps/DqxoKa19wzR1wR3GA
#ラオス国立博物館 #JICA海外協力隊
scroll