ボランティアレポート「放課後教室」

2023.08.24

名 前: 千田 成美
隊 次: 2021年度3次隊
職 種: 小学校教育
配属先: セントポールズ小学校
出身地: 広島県広島市

マラウイの小学校で算数を指導しています。今回は「放課後教室」について紹介します。

毎日「アフターヌーンクラス」と称し、算数の補習授業と日本文化教室をしています。
算数は成績向上のために、復習や予習、練習問題を多く解かせています。
その後、日本文化紹介タイムとして、日本の運動遊び、折り紙、料理を一緒にやります。
日本の遊びではソーラン節、鬼ごっこ、だるまさんが転んだ、二人三脚などを教えました。ダンスが好きなマラウイアンはすぐに「ソーラン、ソーラン、ドッコイショー」とかけ声を覚えます。二人三脚もすぐにコツを覚えていました。

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折り紙では手裏剣、動物、洋服などをつくりました。ほとんどの児童が大苦戦しますが、稀に才能ある児童もいます。実技の授業がないマラウイでは、運動やアートの才能は埋もれがちです。だから放課後教室で「この子は勉強はイマイチだけど手先は器用だ」と驚いたり、「賢い子は集中力や聞く力が高いから折り紙も出来るのか」と観察するのも楽しいです。

折り紙は達成感も味わえますし、集中力・聞く・見る力、指先を器用に動かす力を高めることにも効果があるなと感じます。

さらに「体験しながら算数を学ぶ」こともできます。10歳以上の子供でも「三角形と四角形の違い」「2分の1が半分」が分からない子がたくさんいます。そこで私が「三角形に折って」「2mmくらい折って」「2分の1だけ折って」と指示して見せた後、子供に真似させることで、算数用語をイメージとともに学ぶことができます。折り紙は偉大だと感じます。

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料理は学期に1回程度やっており、前学期はお好み焼きを作りました。マラウイの子供は普段から家でお手伝いをします。だから率先して、火起こし、調理、皿洗いやモップがけなどやってくれました。節水しつつ、砂を使って鍋の焦げ付きを落とす姿に感動しました。肝心の味も気に入っていたようです。料理する時も「15g測って」「15g×3杯は何gになる?」と言いながら作ることで、算数の勉強に繋がると感じました。

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当初は「算数の勉強時間の確保」に重きを置いており、日本文化教室は「多くの子供を呼ぶためのオプション」程度にやっていました。

しかしある日、普段教えている児童の保護者が「我が子が最近、夜8時~11時に帰ってくる。学校で算数の勉強してたって言うんだけど」と学校に言いに来ました。私の放課後教室は16時30分には終わるので、その子はウソをついています。その後、その子を指導した同僚は「彼女は親に嘘をついて夜遊びをしていたんだ」と話していました。

別の先生も「ティーンエイジャーは娯楽を求めて夜遊びに走り、早期妊娠・中退に至ることもあるから危険なのよ。私は中学校に進学できたけれど、妊娠で中退した同級生には未だに無視される」と言います。

日本でも同様の課題はあります。が、日本以上に娯楽のないマラウイでこれを防ぐのはかなり難しい…。と感じます。また先ほどの児童を始め、多くの子供が毎日、素直に勉強を頑張っています。だからこそ「こうした子供が自らの未来を台無しにしてしまうのはもったいない。」と思うようになりました。

そこで私は、「彼らが日本文化教室をおもしろいと思ってくれれば放課後教室に来てくれる。そうすれば算数の学力向上、彼らを非行から遠ざけることに繋がるかもしれない」と思い、より力を入れて日本文化教室をやることにしました。

こんなささやかな行動で彼らの非行が防げたとは到底言えませんし、証明できるデータもありません。

ただ、毎日来た子供は授業や宿題への取り組みがより前向きになった、算数の成績(折り紙スキルも)が上がった、私をより助けてくれるようになった、私も折り紙の教育的効果を感じたことなど…放課後教室を通じて学べたこと、得たものはたくさんありました。

私の任期も残り僅かとなりました。最後まで今の自分がやれることを模索しつつ、マラウイのためにベストを尽くしたいと思います。

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