ボランティアレポート「『かわいそう』のその先へ」

2024.02.09

名 前:佐藤みのり
隊 次:2023年度1次隊
職 種:小学校教育
配属先:モンキーベイ教師研修センター
出身地:静岡県焼津市

マラウイ南部にあるモンキーベイに派遣され早半年、私は教育ゾーン内13校の小学校を巡回しながら表現芸術科目における教員の指導力向上のために活動しています。ここで活動・生活をする中で、私の中でアフリカに対するイメージが確実に変化するのを感じています。

マラウイに来る前はアフリカと聞くと飢餓や貧困、紛争のイメージが先走り、そこで暮らす人々のことを「かわいそう」だと思っていました。しかし、実際目にするその現実は想像とは異なるものでした。

まず活動している時に感じることです。授業で私が話すと、子ども達は目を輝かせ食い入るように説明を聞いてくれ、質問を投げかけると、我よ我よと積極的に手を挙げてくれます。歌を歌わせると、ガラスがあったならば割れてしまいそうなぐらい大きな声で伸び伸びと歌い、ダンスをさせるとクラスが一体となり、お祭りでも始まるのかと思うぐらいの盛り上がりで活気付きます。このような彼らのもつ溢れんばかりのエネルギーに幾度となく圧倒されてきました。教科書は全員分ありませんし、椅子や机も無いクラスがほとんどです。黒板はボロボロで書かれている文字が見にくいこともしばしばあります。しかし当の子ども達は学ぶ意欲に満ち、授業を心から楽しんでいるように思います。

生活している時に感じることもたくさんあります。話しかけると、初対面でも愛嬌と優しさの滲む笑顔で応答してくれ、困っていると何も言わずともそっと手を差し伸べてくれます。子ども達は廃材からボールや鉄砲などの遊び道具を作り楽しそうに遊び、マダム達はゆったりとした時間の中で友人とのおしゃべりを楽しんでいます。このように日々幸せそうに過ごす彼らを見ていると、自分自身の固まった価値観や固定概念がだんだんと変化していくのを感じています。

問題は絶えない環境の中でも、多くを望まず、その日に感謝し、他人を思いやることができる彼らの姿、そしてその心の温かさは、私が今まで気付くことができなかった「人として大切なこと」を教えてくれているような気がします。彼らよりお金や物をはるかに多く持っているであろう日本人の私の方が、実際は、彼らからはるかに多くのことを学び得ているのです。

しかし、「かわいそう」だと感じてしまうこともあります。それは環境です。「もっと教材があれば」「教科書が全員分あれば」「指導方法に工夫があれば」など教育の現場で感じる課題は数えればきりがありません。こんなに心豊かで可能性に満ちた子ども達が環境によって教育の質が左右されてしまうのは非常に残念なことでもあります。しかし、私は教育システムや教育環境を変えるようなことはできませんので、ボランティアレベルでできることを地道にやっていくしかありません。表現芸術科目は教育的価値を軽視される傾向がありますが、私は子ども達の可能性を広げることのできる教科であると信じています。マラウイの子ども達は彼ら特有の素敵な感性を持っていると感じており、それを活かす授業ができたならば、ペーパーテストでは測れない彼らの可能性を引き出すきっかけになるかもしれません。ですので、この教科を一人でも多くの子どもが個性を活かしながら、生き生きと表現できる、そして彼らの創造性を更に伸ばすことができる授業にしていくことが今の私の目標です。

私の活動は点と点が線で繋がるような綺麗な内容ではないかもしれません。今も手探りの状態で活動を進めていますし、大胆なことは何一つできていません。しかし、胸の中には常にマラウイの子ども達の笑顔があり、いつかどこかで少しでも彼らの力になればと願い地道に漠然と歩んでいます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。Zikomo Kuwambiri!

【画像】

活動先の先生と教材探し

【画像】

民族ダンスの衣装を作る授業

【画像】

近所のこども達と鉄砲遊び

【画像】

近所の人たちとお昼ご飯

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ