NGO-JICAジャパンデスク(JICAプラザ) 3.ザンビアで活動する日本のNGO

AMDA社会開発機構

団体名(日本語):特定非営利活動法人 AMDA社会開発機構
Name(英語):AMDA Multisectoral and IntegratedDevelopment Services(AMDA-MINDS)
TEL/FAX:+260-(0)211-250295 / No Fax
Address:Plot 8 Lukasu Road, P.O. Box 37075,Lusaka 10101 Zambia
E-mail:otani_satoshi@amda-minds.org
URL:http://www.amda-minds.org/
ザンビア活動開始時期:1998年
ザンビアでの活動趣旨・目的:
AMDA Zambiaは1998年にルサカ市郊外に低所得者層コミュニティーの発展に寄与する事を目的としたコミュニティーセンターを設立し、その産声をあげました。当初、農園から始まったその活動は着実に拡大・発展し、今ではコミュニティースクールや職業訓練、養鶏事業や青少年レクリエーションセンター等を抱える総合コミュニティーセンターになりました。又、2003年にジョージ地区の一部でルサカ市保健局及び保健センター等と共に始めた結核プロジェクトは、現在ではジョージ地区、カニャマ地区、マテロメイン地区、マテロレファレンス地区という約50万もの人々が住む4つの低所得者層コミュニティー(ルサカ市全人口の約30%)にまで拡大するほど発展しました。そして、我々はこの様なAMDAZambiaの活動が、自立発展性を伴った形で(活動に対するニーズが将来的に消滅するまで)継続的に実施されることを目指して、日々活動を行っています。

ザンビアでの主な活動内容:

ルサカ市非計画居住地区結核対策プロジェクト

本プロジェクトは、JICA(独立行政法人国際協力機構)の支援を得て、首都ルサカ市の中でも比較的規模の大きいジョージおよびカニャマと呼ばれる2つの非計画居住地区(人口約30万人で、ルサカ市全体の約20%を占める)で蔓延する結核の撲滅を目指して日々活動している。「非計画居住地区」とは、その名の通り、電気や水道設備、道路や医療機関などの社会インフラや公共サービスが整備される以前に、家々が無計画に建設されて人口が密集している地区であり、馴染みのある言葉でいえば「スラム」とほぼ同義で、ここザンビアではコンパウンドと呼ばれている。コンパウンドでは、その劣悪な衛生環境により下痢やコレラなどさまざまな病気が蔓延している。他のアフリカ諸国同様、HIV/AIDSとその関係が非常に深い結核による被害は特に甚大であり、この2つの病気への対策は急務となっている。

このプロジェクトは、HIV/AIDSによって多くの医療従事者を失い、慢性的な人材不足と財政難により危機的状況に陥っているルサカ市の結核対策を、「結核治療サポーター」と呼ばれる地域から選ばれた保健ボランティアの力を借りて立て直すことを目的としている。具体的には、ルサカ市の保健局とジョージ及びカニャマ・コンパウンドの保健センターと共に、主に次の4つの活動を実施している。

  1. 結核治療サポーターの養成
    ルサカ市保健局と共に2度のサポーター養成研修と5度のフォローアップ研修をこれまでに実施してきた。その結果、現在、約160名の結核治療サポーターが結核やHIV/AIDSに関する幅広い知識を持って活動に積極的に励んでいる。
  2. 結核治療サポーターによるコミュニティ治療活動の実施
    ジョージ及びカニャマ・コンパウンドにある保健センターとコミュニティの中で、結核患者の服薬支援を行っている。保健センターでは結核担当ナースの指導の下、新規患者の登録からカルテなどの記録/整理、薬の準備/投薬、服薬確認まで一連の流れに関する補助作業を行っている。コミュニティでは、家で薬を飲んでいる結核患者の服薬確認を行うために家庭訪問を行い、同時に患者やその家族に対して結核およびHIV/AIDSに関する保健教育を行っている。
  3. 結核治療サポーターによる結核とHIV/AIDSに関する保健教育の実施
    ジョージ及びカニャマ・コンパウンドにある保健センターとコミュニティの中で、結核患者とその家族、そして一般の人々に対して結核とHIV/AIDSに関する保健教育を行っている。保健センターでは本プロジェクトで作成した結核とHIV/AIDSに関する紙芝居を使いながら、質疑応答も交えて結核患者やその家族の疑問に的確に応えている。コミュニティではこの紙芝居に加え、サポーターが結核やHIV/AIDSに関するドラマを演じる事により、普段はあまり話題に上ることのないこれらのテーマに関する一般の人々の関心を惹きつけ、啓発を進めている。また本プロジェクトで作成した紙芝居とパンフレットが、ザンビアの保健省から公認された結核に関する唯一の保健教育教材として、今後は全国的に利用される事が期待されている。
  4. 結核治療サポーター支える所得創出活動の実施
    結核治療サポーターは、基本的に無償のボランティアとして活動に携わっている。活動は毎日、時に半日近くに及ぶ事もある。現金収入のために費やすべき時間を失っているという機会コストの視点から、コミュニティのために頑張るサポーターへの何らかの見返りは必要である。本プロジェクトでは、結核治療サポーターを支えるための所得創出活動として養鶏事業などを実施し、その事業収益は、結核治療サポーターの活動の度合いに応じて分配されている。

さらに今年度は、日本国際協力財団の支援を受け、マテロ・リファレンス、マテロ・メインの両コンパウンドにおいて、結核治療サポーターの育成などソフト面の強化を目指したコミュニティDOTS結核対策強化プロジェクトを実施する。

コミュニティセンタープロジェクト

ルサカ市のジョージコンパウンドでは、1998年から保健省より2.8haの土地の提供を受け、包括的かつ持続可能な社会開発サポートシステムを目指し、農園、コミュニティ・スクールおよび職業訓練、そしてユース・レクリエーション・センターを運営するコミュニティセンター事業を実施している。

農園では高タンパクな食物として大豆を栽培し、収穫された作物は地区内の保健センターなどを通じて、栄養不良の子どもや結核患者などに配っている。また、トマト、キャベツ、玉ねぎ、アフリカナス、バナナなど、収入向上を目的とした換金作物も栽培している。井戸、ポンプ、パイプ、貯水タンクなどの水道システムを用いて農園は一年中稼働している。最大2,250羽の飼育が可能な養鶏所も運営している。

コミュニティ・スクールでは、学校に通えない子どもを対象に小学校の授業を行っている。今年は30人の初めての卒業生を出すことができ、11月には公立中学校の入学試験を受けることになっている。職業訓練ではミシンを使った裁縫教室を行っており、卒業後、自営するためのビジネス管理などの授業も含まれている。また、パソコン教室も開いており、その基礎知識やワード・エクセルなどのコースを実施している。現在、合わせて約120名の生徒が学んでいる。

同じ敷地内には若者のためのユース・レクリエーション・センターを設けている。ルサカ市の貧しい地区内の娯楽施設といえば酒場程度しかなく、これがザンビアで広がっているHIV、アルコール、薬物、暴力など諸問題の原因の一つだと考えられている。当センターでは、ビリヤード、筋肉トレーニング機器、バスケットボール、バレーボール、卓球、空手教室などのスポーツに加えて、保健教育、チェス、文化教室、図書コーナーなどを通じて、包括的な若者の育成を目指している。センター内では保健教育のメッセージを含んだビデオを流し、保健教育のパンフレットとポスター、そしてコンドームも用意してある。

また、結核治療対策プロジェクトの一環としてその活動を支援するための小規模ビジネスを展開している。現在はコミュニティセンターを拠点にサポーターの起業を支援している。コミュニティセンターの養鶏所の一角で、養鶏販売を実施するとともに、ザンビアの主食であるミリミール(トウモロコシ粉)の販売も行っている。これらのビジネスから生み出される利益は結核治療サポーターとその活動に充てられている。

最後に、コミュニティセンターの広場や教室を公開し、週末や祝日などには住民組織のワークショップ、教会のミーティング、結婚式などのイベントが開けるようにしている。これらの多様な活動を通じて、文字とおり「コミュニティセンター」(つまり地区の中心となり住民が集まる場所)として、コミュニティ全体の成長と健康的な環境に貢献することを目指している。

このように、社会開発を目的とする福祉活動と収入源になるビジネス活動を両立することで、地域レベルで持続可能な社会開発事業の実現を目指してきており、モデル事業になりつつある。2006年初めからは独自の収入源ですべての活動費を賄えるようになり、会計上自立した。また、センター長などのスタッフもマネジメント能力が向上し、自立してきている。これからはローカルNGOとして登録し、外国の支援から「卒業」させる予定をしている。

開発ファイナンシング試験事業

持続可能な社会開発モデルを追求する一環として、賃貸住宅を建設し、その家賃収入を他の社会開発事業の運営に充てるという試みを行っている。賃貸住宅はたいていの場合、高所得者からの家賃は、高所得者である土地の所有者に支払われる。つまり、この資金は、比較的恵まれている人同士の間でまわることになる。ところが、このプロジェクトでは、高所得者から支払われる家賃は社会開発活動に転用され、逆に低所得者層が受益者になるのである。現地の資産で、現地の社会開発が推進されることになる。

則岡美保子氏の支援を得て、2007年1月に事業を開始した。市内の新興住宅地で土地を購入し、その敷地に2棟のアパートを建設している。8月には完成し、借家人を受け入れる予定としている。家賃収入の利益をAMDAザンビアのコミュニティセンター及び結核対策プロジェクトの運営に活用し、長期的な支援体制の構築に充てる予定である。現地での収入源がより多様で、より安定したものになると期待している。

事業分野:保健医療(結核、HIV/AIDS)、コミュニティー開発
ザンビア実施地域:ルサカ市(ジョージ地区、カニャマ地区、マテロメイン地区、マテロレファレンス地区)
ザンビアでのパートナー団体(NGO/CSOs):ZAMBART, CIDRZ

本部

TEL/FAX:+81-(0)86-232-8815/8816
E-mail:info@ml.amda-minds.org
住所:〒700-0807 岡山県岡山市南方2丁目13-1 ゆうあいセンター内
代表者名:理事長 鈴木 俊介
設立年:2007年
(日本の)NPO法人格の有無:
支部など:アジア(ミャンマー、ベトナム、インドネシア、ネパール)アフリカ(ザンビア、ジブチ)中南米(ホンジュラス、ペルー)

団体からのメッセージ:

AMDA社会開発機構は復興、再建、社会開発分野の活動に関する専門性を高め、途上国の貧困削減に焦点を当てた中長期の開発協力事業に特化する為に、特定非営利活動法人アムダより独立しました。我々は生計、健康、生活環境の向上を通じて貧困からの脱出を願う人々と共に、社会開発を中心とした国際協力の活動を実施し、また国境を越えた市民社会のつながりを基盤とした社会教育の推進を図る活動等を通じて、貧困の軽減、社会の発展、平和の構築に寄与することを目指しています。皆さまからの温かいご支援の程を宜しくお願い申し上げます。

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結核治療サポーターによる服薬確認<保健センターにて>

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結核治療サポーターによる紙芝居を使った保健教育<保健センターにて>

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AMDAコミュニティーセンター入口

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コミュニティーセンターで収穫されたキャベツを手に笑顔の子供たち