【ザンビア】ザンビア大学における5S-KAIZEN活動を通じた物品・検体・組織管理

当プロジェクトを推進するザンビア大学獣医学部 疾病制御部門では、プロジェクトで調達したものを含め、大量のラボ用機材・器具・消耗品の在庫管理を適切に行っていく必要があります。また、動物病院やフィールドで採取した多くの検体の管理も課題となっています。カウンターパートも管理体制構築の必要性を強く認識しています。

ザンビアには、JICAの「品質・生産性向上(カイゼン)展開プロジェクト」を契機に2014年に立ち上げられたKAIZEN Institute of Zambia(KiZ)という非営利組織があり、産業及びその他分野の品質・生産性向上のために、KAIZEN活動の実施・普及に今も取り組んでいます。プロジェクトでは上述の課題を克服すべく、KiZの支援のもと、昨年マネジメント層と現場スタッフ向けの5S-KAIZENセミナーを実施し(セミナーの様子はこちらをご覧ください)、今年1月からはスタッフによる5Sハンズオン活動を継続しています(注1)。

(注1)5SやKAIZEN(カイゼン)に関する詳細は以下のパンフレットをご参照ください。

以下の写真の通り、疾病制御部門のラボや倉庫では大きく状況が改善されています。5S-KAIZENのコンセプトをカウンターパートがよく理解しているため、今ではKiZが来ない日でも定期的にKAIZENチームが集まり、5S-KAIZEN活動を適切に進めています。

外から見える部分の5S-KAIZENが大きく進んだため、今後はフリーザー内の検体管理の改善にも取り組んでいく予定です。病院、検査機関など、検体を扱う他機関のモデルケースとなることを目指しています。

獣医学部内ではすでによい波及効果が起きています。昨年のセミナーに参加したJICAの「ザンビア大学獣医学部臨床教育強化プロジェクト」(注2)専門家やそのカウンターパートである臨床教育部門長らからもこの活動を実施したいとの強い希望があり、今年5月には同プロジェクトでも5S-KAIZEN活動を開始しました。

(注2)

5S-KAIZEN活動は、職場環境の改善というハード面にとどまらず、活発なディスカッションを通じた組織の健全化や、属人的な組織管理からの脱却というソフト面の改善をももたらします。この活動を通じ、プロジェクト終了までに効率的で持続的な管理体制を構築すること、研究・診断機能の強化に繋げることを目指します。

こちらでも、プロジェクト活動をご紹介しています。是非ご覧ください!

ウイルスラボ

不要なものを排除したのと同時に、動線を考え、今後物品の定位置を変えることなくラボワークが完結するシステムを構築しました↓

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疾病制御部門長はこの活動の大きな牽引力です。危うくただの大掃除で終わりそうだったスタッフの5S活動に喝を入れ、我々が目指しているのは10年経っても変わらないシステムの構築だと説明しています。

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先行プロジェクトで作成したSOP(標準作業手順書)は、カウンターパートにより直近まで更新・利用されています。

倉庫

文字通り足の踏み場がなく、あらゆる物品が乱雑に詰め込まれていた状況から、不要なものを排除し、必要な物品を整頓しました。また物品の目的ごとにカラーコーディングを行いました。今後インベントリリスト作成と消耗品の「先入れ先出し」システムの構築を行っていきます↓

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物品管理担当者が処分する物品のリストを作成しています。後ろにあるのはすべて、廃棄または適切な場所に移動させるために運び出された物品です。

モレキュラーラボ

シークエンサー(遺伝子解析装置)を置いているモレキュラーラボでは、5S-KAIZEN活動により効率的なラボワークが可能となっただけではなく、シークエンサー等の装置へのダスト混入も大幅に抑えられる見込みです↓

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※作業時に装置にダストが混入しないよう、カバーを被せています。

BSL2ラボ

他のラボよりも危険性の高い病原体を扱うこともあるBSL2ラボで5S-KAIZEN活動を行うことは、安全に研究・診断を行うためにも重要です↓

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