117. 稲作における農業機械化と温室効果ガス削減に関する研究発表会(2024年11月9日)
今回は、本プロジェクトのモデル5「稲作における労力削減およびコメのバリューチェーン向上のための機械化とオートメーションの活用」に関する研究成果を議論するワークショップに参加しました。本モデルでは、ヤンマー社の農機を活用して農業機械化に関する試験を行うとともに、その効果による温室効果ガス削減についても調査しています。ヤンマー社は、2013年にカントー大学(CTU)内にヤンマー・ベトナム農業研究所(Yanmar Agricultural Research Institute, Vietnam: YARIV)を設立するなど、メコンデルタ地域において農業機械に関する長年の研究協力関係を築いています。
ワークショップでは、同モデルのチームリーダーでもある工学部学部長のNguyễn Văn Cương先生と彼の研究チームが、ロンアン省などで実施した試験結果に基づく成果を発表しました。発表内容には、農業機械による精密な施肥方法と間断灌漑(Alternate Wetting and Drying: AWD)を組み合わせることで、温室効果ガスの一つであるメタンの排出を抑制できることが含まれていました。本プロジェクトからは今井業務調整専門家も出席し、研究成果の進捗を確認するとともに、さらなる農業機械化の環境保護効果に関する研究の進展を期待する旨のコメントを述べました。
ワークショップには、ベトナム農業機械協会メコンデルタ支部から多くの会員や企業関係者が参加し、研究成果の広範な共有が図られました。また、ベトナムの民間企業による農機に関する発表や紹介も行われ、プロジェクトおよび研究チームにとっても有益な学びの機会となりました。
伝統的な播種や稲刈りの場面に留まらず、ドローンの利用や農機の自動運転など、農業機械化に関するテーマは多岐にわたります。ベトナムの農村部でも人手不足の問題が徐々に進行しており、その観点からも農業機械の効率的な活用と、それが低炭素型農業にどう結びつくかについて、まだ多くの潜在的な研究テーマがありそうです。
写真1.JICAプロジェクト共同研究に関する発表を行うCTUのCương先生
写真2.ワークショップ参加者