第4期果樹普及農家育成プログラム始まる

2019年11月8日

第4期目となる果樹普及農家育成プログラムがスタートしました。当プログラムは、プロジェクトが提唱する普及アプローチ(アウトリーチ・プログラム)に基づく活動で、中西部5県から選抜された農家を対象に、果樹栽培技術の基礎を伝授するため、一年にわたり様々なカリキュラムを実施します。今季は、32名の果樹普及農家が参加しています。彼らは、各県農業事務所の推薦を受けた地域の農家で、プロジェクトスタッフによる圃場予定地の事前チェックにパスし、本プログラムに参加するチャンスを得ました。

果樹普及農家育成プログラムの核となるのは、3回シリーズの技術研修です。その第1回目の研修が、10月下旬に行われました。バジョ農業研究開発センターに集まった果樹普及農家4期生は、開講式の後、次回の研修で提供される果樹苗木を植栽するための準備作業を学びました。1本の小さな苗木に対し、直径1メートル、深さ1メートルの穴を掘り、堆肥を混ぜて土を埋め戻す作業が求められます。参加農家は、2月に予定される苗木の植栽に先立ち、このような植穴を50個前後準備しなければなりません。大変な労力ではありますが、適切な準備の重要性を理解した農家たちは、汗を流しながら真剣な面持ちで穴掘り実習に励んでいました。そのほか、ポット用土作り、有機肥料作りの実習を行い、今年から推進しているもみ殻くん炭の製造を見学し、使用方法も学びました。
研修2日目からは、ブータン東部への視察旅行に出かけます。東部地域では、過去約14年にわたり、JICAによる園芸農業分野の技術協力が行われました。果樹普及農家育成プログラム発祥の地でもあり、JICAの技術支援が終了してからも、自前の努力で当プログラムを発展、継続させています。そういった歴史がある中、過去のJICAプロジェクトから支援を受けたモデル農家の中には、収穫した果実の販売で大きな利益を上げる者も出てきました。この視察研修は、そうした先輩農家の成功体験を見聞する機会を提供することによって、新規参加農家の意欲を喚起し、自分たちが将来目指すべき姿を理解してもらうことを狙いとしています。移動だけで往復4日を要するハードな旅ですが、東部の成功体験を目の当たりにした4期生たちは、大いに刺激を受けた様子でした。

プロジェクトは2020年1月に終了することから、プログラムのスタートから修了までの全プロセスをカバーできるのは、今期が最後となります。プログラム運営の多くはブータン側スタッフの努力に委ねつつ、プロジェクト終了後の継続実施に向けた議論を重ね、必要な調整を加えて行きたいと考えています。

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プロジェクトスタッフと第4期果樹普及農家育成プログラム参加農家(Bグループ16名)

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バジョ・センター圃場での植栽準備実習の様子(Aグループ)

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バジョ・センター圃場での植栽準備実習の様子(Bグループ)

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東部視察の道程における最高地点トムシン峠(標高3700m)

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視察道中の食事は自前ケータリング

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毎年の東部視察研修を受け入れてくれるウェンカル農業研究開発センター

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かつてJICAプロジェクトのカウンターパートを務めたウェンカルセンター所長による講話

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各種の園芸作物が栽培されているウェンカルセンター試験圃場見学の様子

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JICAプロジェクトの支援を受けて造成されたモデル農家の果樹園を見学

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東部視察では果実加工食品について学ぶ機会もありました

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東部モデル農家の経験に耳を傾ける4期生たち

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訪問先のモデル農家で採れた文旦を試食しました