果樹普及農家育成プログラム紹介

2018年9月17日

本プロジェクトでは、ブータン中西部地域における果樹栽培振興を目的に、活動対象5県から選抜された農家を対象に「果樹普及農家育成プログラム」を実施しています。果樹普及農家育成プログラムは、プロジェクトが提唱し整備に取り組む普及アプローチ「アウトリーチ・プログラム」の代名詞的な存在です。プロジェクト関係者の間では、特に断りがない場合、アウトリーチ・プログラムという言葉はこの果樹普及農家育成プログラムを指すことが一般的です。

果樹普及農家育成プログラムは、一サイクルにほぼ1年の時間をかけて行われます。これまでに2期のプログラムを実施し、合わせて43名の果樹普及農家を育成しました。果樹普及農家は、期待される役割や位置付けに基づき1)果樹展示農家、2)果樹育苗農家、3)果樹フォーカスビレッジに分類されます。それぞれ目的や位置付けは異なりますが、三者に共通する将来的な役割は、同地域の果樹栽培普及促進において、農村・農家レベルでの核となることです。具体的には、果樹栽培の優良先駆事例となること、そして、自身が得た技術や経験を近隣の農家に伝える民間普及員の役割を担うことです。

果樹普及農家育成プログラムの基本的な実施手順は、果樹栽培の季節的な作業サイクルを踏まえた上で、以下のとおり明確に定められています。参加農家は、これら一連の作業と3回の研修を通じて、果樹栽培に必要な知識と技術を系統的に学ぶことができるのです。
1)新期プログラムの計画策定(7月)
2)果樹普及農家の選抜と圃場確認(8月~10月)
3)第1回研修:植付け準備、東部地域への視察研修(10月)
4)農家圃場での植付けレイアウト(11月~12月)
5)第2回研修:植付け、整枝・剪定、苗木配布(1月)
6)農家圃場での苗木植付け(2月)
7)第3回研修:摘果、野菜栽培(6月)

第3期の果樹普及農家育成プログラムも既にスタートしており、前期同様30名程度の果樹普及農家の育成を目指しています。そして、より多くの農家を育てることはもちろんですが、同プログラムを繰り返し実施する中で、カウンターパートが将来にわたり独自にプログラムを継続発展させていくためのノウハウを蓄積することも、プロジェクトが果たすべき大きな役割です。

関連リンク:

【画像】

1.各県で行われるワーキング・グループ・ミーティングにおいて、次期プログラムの基本計画を協議、決定します(7月)

【画像】

2.希望者からの申請に基づき、参加農家を選抜します。その過程で候補者の圃場に赴き、条件の適不適を判断します(8月~10月)

【画像】

3.第1回研修ではJICAの協力が成果を上げた東部の果樹栽培を視察し、果樹普及農家が目指すべき目標を共有します。(10月)

【画像】

4.第2回研修では果樹の植付け、整枝・剪定の技術指導を行います(1月)

【画像】

5.果樹普及農家にはプロジェクトが生産した果樹苗木が提供されます(2月)

【画像】

6.圃場に届けられた苗木は、時を置かずして農家の手で植栽されます(2月)

【画像】

7.第3回研修では果樹の摘果技術に加え、樹間栽培を想定し野菜栽培技術の指導も行います(6月)