専門研修のカリキュラム改定セミナーを開催しました(続報)

2019年6月12日

プロジェクトでは、専門研修のカリキュラム改定に関する指針作りに技術的支援を行ってきています。4月11日と6月5日に、カリキュラム改定の手法に関する勉強会、また継続して5月23日にも実際に改定作業を行うワークショップ形式の研修を開催しました(プロジェクトニュース2019年4月12日、5月24日参照)。今回は、仕上げとなる研修を6月11日に保健省会議室で実施しました。

今回は、ウランバートル市内の三次レベルの専門病院、私立の病院や医科大学から60名近い参加者がありました。保健省で承認されたカリキュラム改定の指針に基づき、国民のニーズに合わせて抽出された、獲得すべき医師の能力を明記し、その能力を獲得するために必要な研修方法や研修医の評価方法を記載するカリキュラム(アウトカム基盤型、あるいはコンピテンシー基盤型カリキュラム)の作成に挑戦しました。

外科、産婦人科、耳鼻科、神経科、伝統医学など、それぞれの専門分野のカリキュラム改定に取り組む参加者たちは、前回のWSで行なった目標設定に続き、現実的な資源にも配慮した研修方略の設定、また診療の現場での研修医の能力を評価する業務基盤型評価(workplace-based assessment)の評価ツールの作成などに取り組み、カリキュラムの標準化を図りました。すでに自分たちで勉強しカリキュラムを改定していた参加者たちからは、研修医指導の現場での使用を意識した具体的な質問が多くあり、予定されていた時間を超過して作業を行いました(図1、2)。

今後は、作成されたカリキュラムの内容を保健省内で吟味し、必要な修正を行った上で承認していく予定になっています。モンゴルの国に必要とされる能力を身につけた医師の育成につながる改定ですので、プロジェクトとしても研修医評価の実践研修などのフォローアップ研修を行い、改定が形だけに終わらないような支援を続けていきたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.参加者たちは、専門診療科別にカリキュラム改定作業に取り組みました

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図2.参加者たちは、専門診療科別にカリキュラム改定作業に取り組みました